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股関節完全伸展の重要性

臨床では股関節の伸展制限を有する症例を数多く経験します。

股関節の伸展制限は、股関節疾患だけではなく脳血管疾患や高齢者にも多く認めます。

今回は、股関節の伸展制限の弊害と基本的な治療目標について紹介していきます!


股関節の屈曲拘縮

股関節の屈曲拘縮は正常な整体力学を破綻させます。結果的に歩行や立位の代謝効率を低下させます。

股関節は長期にわたり屈曲位でいると屈曲拘縮を起こします。

これは、股関節屈筋の痙縮、股関節伸筋の筋力低下、股関節包の疼痛や炎症、長時間の座位姿勢などが関連します。

時間経過に伴い、屈筋と関節包靭帯は屈曲位の状況に適応して短縮し、股関節完全伸展は制限されます。

正常な直立姿勢

正常な直立姿勢は、股関節周囲筋のわずかな筋活動で保持することができます。股関節伸展位は、体重と伸張された関節包靭帯が受動的に発揮する股関節伸展トルクによって安定化されます。

通常、体重は股関節の左右軸のわずかに後方を通ります。体重はわずかながら股関節伸展を引き起こす股関節伸展トルクを生み出します。

股関節がさらに伸展するのを防ぐのは、引き伸ばされた関節包靭帯と股関節屈筋が生む受動的な屈曲トルクです。

股関節の屈曲拘縮

股関節に屈曲拘縮があると、直立中に、股関節は曲がったままになります。この姿勢では、体重が股関節の前方を通過するため、屈曲トルクが生じます。

通常は、体重が股関節を伸展させますが、屈曲拘縮があると体重は股関節を屈曲するように働きます。

こうなると、股関節関節包靱帯は屈曲した股関節に抗する力を発揮できないため、股関節と膝関節の崩落を防止するため、股関節伸展筋の能動的な力が必要となります。

増大した筋活動の要請は、立位中の代謝コストを増大させるため、時間の経過とともに座りたがる人が増えます。長時間の座位はさらに屈曲拘縮を引き起こす状況を作り出します。

股関節障害に対する治療

多くの股関節障害に対する治療には、股関節伸展筋の活動の最大化を含めるべきです。

これは高齢者に特に必要です。健康高齢者の歩行中の股関節伸展角度は若年者平均値と比べて30%少ないと報告されています。

治療計画には、股関節伸展筋の筋力強化、関節包靱帯や股関節屈筋のストレッチを含めたほうがよいです。

また、骨盤の後傾を介した腹筋の活性化も股関節伸展を促す可能性があります。

股関節のクローズパック肢位である伸展とわずかな外転と内旋の組み合わせは、股関節包靭帯をさらに伸張させます。

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今回の記事は以上になります。

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