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安静臥床による骨格筋への影響

前回は、安静臥床による循環器系の変化について紹介いたしました。

骨格筋も循環器系と同様に、安静臥床により機能低下を起こします。

今回は、安静臥床による筋肉への影響について紹介していきます。

本日も学習していきましょう!



抗重力筋の筋力低下

安静臥床により筋力は低下しますが、全ての筋肉が同様に筋力低下するわけではありません。

主に抗重力筋と呼ばれる筋肉が低下します。

主な抗重力は以下の通りです。

①脊柱起立筋群
②腹筋群
③大臀筋・中殿筋
④大腿四頭筋
⑤下腿三頭筋

抗重力筋は、立位姿勢などで無意識に収縮して使われています。

寝たきりでは、抗重力筋が収縮する機会が失われるため、他の筋肉に比べて優位に筋力低下を起こします。


タンパク質代謝の低下

筋肉はタンパク質からなる筋原線維(アクチンフィラメント・ミオシンフィラメント)で構成されています。

筋力を発揮するためには、タンパク質の合成が代謝によって進み、太い容積を保つことが重要です。

寝たきりにより代謝が進まなくなると、タンパク質の分解が進んでしまいます。

タンパク質の合成よりも分解の方が優位に進むと筋容量が少なくなり、筋力も低下します。


安静臥床による筋力低下

Brownらは、宙吊りにしたラットの後足を浮かせて安静臥床と同じ状態にした実験を行いました。

その結果、筋重量は14日間で6割程度まで落ち込んだと報告しています。

また、人間が被験者の実験においても、20日間の寝たきりで、伸展横断面積が7%減少したと報告されています。

筋力と相関する筋横断面積の減少をみても、長期臥床が筋力低下を起こすのは明らかです。


筋肉は寝たきりに順応する

抗重力筋は、持久力の発揮に有利な「タイプI線維」と呼ばれる筋肉です。

この筋肉は、収縮する速度が遅いことから遅筋と呼ばれます。

反対に、瞬発力の発揮に有利な筋肉は「タイプII線維」と呼ばれます。

これらの筋肉は収縮速度が速いことから速筋と呼ばれます。

抗重力筋は寝たきりにより収縮する機会を失うと速筋へと変性します。

「遅筋としての役割はいらないから、速筋に変わろう!」と判断し、環境に適応してしまいます。


まとめ

・安静臥床で抗重力筋の筋力低下が起こる
・タンパク質代謝が低下し、筋容量が減少する
・安静臥床は、筋重量、筋横断面積が減少する
・筋肉が遅筋から速筋に変性する


今回の記事で参考にした書籍はこちらです↓
実践!早期離床完全マニュアル: 新しい呼吸ケアの考え方 (Early Ambulation Mook 1)

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今回の記事は以上になります。

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