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ライナーノーツと御礼(逆噴射小説大賞2023に参加して)


1 御礼  (ピックアップ+α)

 note上で企画されている小説投稿企画「逆噴射小説大賞2023」に初めて参加しました。投稿作品もおそらく全部、楽しく読ませていたたきました。
 たくさん読んでもらって反応まで頂き嬉しかったので、ここで御礼申し上げます。ありがとうございました!
 ピックアップ+αしていただいたのは下記のとおりです(漏れていたらごめんなさい)。他の方の作品にコメントするのは大変恐縮なのですが、ピックアップ文化素晴らしい思うので触れさせていただきます。

① 摩撫甲介さん 「逆噴射小説大賞2023ピックアップ」

 「バキラが首都にやってくる」たまらないっすね。強くて大きくて一途なバキラが主人公。恋の行方はいかに。腕痛そうなので治るといいなあ。いろんなことに想像力を掻き立てられますが、こういう魅力的なキャラター生み出せるってすごいなと思いました。

② お望月さん 「逆噴射ピックアップ2023 #逆噴射小説大賞2023感想行為

 前作で恐縮なのですが『IN WHITCH』めっちゃ好きです。妻が可愛すぎる上に、WITCHがいる世界、もう言うことなしですね。こういう自然な描写とか、近未来の世界観とか、頑張って目指してみたいなあと思いました。

③ ジョン久作さん 「逆噴射小説大賞2023ピックアップ」

 ロキのピックアップ記事です。自分が書いた文章が人に伝わるか不安だったのですがちゃんと伝わってよかったです。それどころか、書いた本人よりもしっかり読んでくれていて感激しました。ありがとうございます。

 そんなことより「贖命のダイヤモンド」がカッコ良すぎる。歴史ある舞台の現代の話。合成ダイヤモンド製造本拠地にて、家族と宝石工場を奪われたの少年が、路上に竹籠を並べて西瓜を売っているシュチュエーション導入からぐっとくる。こういうリアリティというか見識というか着眼点というか、いったいどこからアイディアがくるのか気になる。ダイヤを口に含み真偽鑑定できる貴重な能力。最新の機器でも正確に見分けられないほどのクオリティの合成ダイヤモンド。小説を通して知らない世界が体験できる楽しみの原点みたいなのを思い出しました。

④ 復路鵜さん 「逆噴射ピックアップその三(20231122)」

 前作で恐縮なのですが、復路鵜さんの作品といえばやはり「ティターニア」が好きです。翼がありあらゆる声が出せるティターニア。「何もかたちになっていないのに、音は古代の布のように美しい」という言葉に世界観が凝縮されている感じがします。続きが気になります。

⑤ 透々実生さん 「逆噴射小説大賞2023 個人的に好きな作品」

 透々実生さん「カラスたちのクリスマス」、カラス好きにはたまらない作品です。カラス視点のクリスマス物語。クリスマスディナーの残り(チキン含む)がご馳走のカラス。結構ハードな世界を生きているはずのカラスですが、こういう楽しい気持ちでクリスマス迎えられていたらいいですね。

2 ライナーノーツ

① 一作目 瀬取狩【せどり-がり】

 今年も始まったか、と思いnoteを眺めていたところ、こちらの作品が投稿されました。

Laundryman Lv.Max さん 「【空港税関-怪物図鑑】 #逆噴射小説大賞2023」

 動物検疫とは別に、輸入禁止の動物がいないかチェックする仕事。
 たしかに、検疫は正規ルートの動物に対してのみ行われる以上、主人公は重要な仕事をしている。そこで起きている日常のにぎやかな大惨事。ターミナルを超えて聞こえてくる絶叫。全部面白い。こいつあーすごい。

 と同時に反対に、密輸の静かな世界を見てみたいと思い、勢いで書いたのが「瀬取狩【せどり-がり】」でした。すぐ書けたものの、そもそも小説を書いたことがなく、人に見てもらい時間をかけて推敲しました。
 逆噴射小説大賞のレギュレーションや趣旨を考えつつも、作品群にはあまりない、加害者かつ被害者である弱い女性が感じた恐怖と、海と島のある綺麗な夜の景色を書いてみました。


①と②の間 (ボツ) 蝶々-The Butterfly Effect-

 RTGさんの「討手は闇に」を読み、時代物は良い!と思いつつ、筆力もなにもない自分に何が書けるか考えていたところ飛び込んできたのが、二郎坊さんの柴コーン(以下、二郎坊さんの作品に深く触れるが、作者にご了承を得たのでご安心いただきたい)。

 もうこれはどうしようもない。今年の流行語大賞は「きゅうん」「スパンスパン」「サクッ」だろう。メディアミックス、LINEスタンプなど、世界に広がるポテンシャルを感じさせ、二次創作も流行ること間違えなしと、妄想を膨らませながら、柴コーンを音読する日々が続いた。
 
 その結果、2作目を作ることができなくなった。

 正確には、いくつか書いたのだが柴コーン病(通称:柴コン病)の症状が現れてしまった。少々長い(800字超)がご覧いただきたい。

《柴コーン病によるボツ作》 タイトル:蝶々-The Butterfly Effect-

 「さすがにそれは…ええ…ほんとにするの」
  ……。
 「ね、前言ってたことと違くない?」
  …大丈夫だから。
 「大丈夫とかじゃなくて、ちゃんと聞いてた?」
 「そうじゃないよね。なんでこうなるかな」
  …ごめん。
 「…別にさ。もういいや」
 「これはないと思うな…もういいんだけど」

 ドアを開けると白い光に包まれる。
 眠い、そう思えたのも数秒だった。

-2024.12.16-

-2179.2.13-
 朝が来た、と感じ目が覚めた。
 ゆっくりと手足を伸ばす。
 
 「…どこにいるの?」
 「ここだよ。おはよう」
 「…すごいね。ちゃんと完成したんだ。偉いよ」
 「まあな。案内するよ。いまの世界を」

 未来を生きたい。ただ、孤独な未来は耐えられない。
 そんな研究者としてのわがままに璃子は付き合ってくれた。
 ラボで開発した冷凍睡眠装置。痛みもなくただ未来を迎えた。
 
 璃子が起きるよりも二週間早く起き、一緒に暮らす準備を整えた。
 彼女を驚かせたくて、ようやく見つけた店にこれから案内する。

 ドアを開け外に出る。眼下には、巨大な刀を地に突き刺したような高層ビル群が広がる。その隙間にガラクタのような古びた、どこか懐かしい建物が並ぶ。
 7号棟商店街の奥路地まで来た。夕闇に照らされた街がネオン灯の色に染まっていく。ハンドメイドの店が並ぶ中、喫茶店の下の階にその店はあった。
 螺旋階段を降りると、着いたのは小さな店。木製のドアと看板。看板には見慣れない文字と魔女の絵が描かれてた。

 ー魔法を瓶に詰めて売る店ー

 ドアの隣の窓から中が見える。
 黒服長身の魔女が早口で何か呪文を唱えている。
 途端に手に持っていたフラスコ中の液体がNeon Blueに光り気化し色を変え、別の細長いガラス瓶に吸い込まれていく。
 ぽんっという音と同時に、コルクとリボンが棚から飛んできて、綺麗にラッピングされた。
 魔女とガラス越しに目が合い、店内へと案内された。
 「待ってたよ、いいのが出来た」
 「えっと、これはなんの、、魔法?」

 「これはねえ…柴犬をユニコーンにする魔法さ!」

《つづく》

 ご覧いただいたとおり、ラストが柴コーン落ちになっている。
 逆噴射小説大賞の要は、ラストであり、ここが一番難しいと思っていた。

 そこに強烈な柴コーンの幻影が現れ、何を書いても柴コーン落ちにしたくなってしまうのだ。柴コーンとっても便利。

 もうこうなったら、他の参加者も下書きに埋もれたボツ作を柴コーン化して、柴コーン祭りでもやった方がいいのではないか、などどさらに妄想を膨らませつつ、二作目ができない日々が続いた。
 
 なお、ボツ作のアイデア自体は、下記の自作曲を文章にしたものである。夕闇、サイバーパンク、魔法を瓶に詰めて売る店のイメージで作った曲。よろしければお聞きください。

② 二作目 Loki 'n' Roll

 もう投稿期間も残り少なくなったある日、旧友と寿司を食べにいった。

 せっかくお薦めの寿司屋まできたのに、わずか数秒で5貫食べた友人が許せず、怒りながら帰りの電車のスマホで書いたのが本作である。
 ほぼ日記だが、初稿はラストが柴コーン落ちだった。またこれもボツか、と思いながらも、周囲に励まされラストを変えて投稿した。
 
 柴コーン落ちを超えるラストはどうすればいいのか考え抜いた結果、ヒューマノイドロボットが変形して、金属製メタル色の恐竜になり、それも着ぐるみスタイルで、そこにおじいさんが乗り込む。
 大満足だった。アメコミヒーローのように変身スタイルもよいが、日本伝統の着ぐるみスタイルはもっとカッコいい。寿司スタイルのメタルT-REXにしたのは、寿司をベースにしたかっこいいキャラクターを存じ上げなかったので、描きたかったからである。

 末筆ながら、サムネイル画像作者の「Yukitaka Sawamatsu」様、ありがとうございました。「みんなのフォトギャラリー」から選んだ画像ですが、小説のイメージにぴったりのエキゾチックな巻き寿司画像でした(画像のイメージを小説で損ねないかなと心配だったのですが、いいねを押していただき安堵しました)。

3 これから(柴コーンの在る日々)

 文章を書く楽しさをあらためて感じさせてもらいました。本を読むときも新たな視点ができてまた違う楽しさを感じるようなりました。参加させてもらったこと、たくさんの人に読んでもらったことに深く感謝します。ありがとうございました。
 
 とりあえずは柴コーンを合成音声ソフトに読ませたデータを作成したい(作者も待っているはず)。

ーFINー


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