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ブルネイとカンボジア 成長の秘密(2050年にかけて成長する国/しない国)

≪ブルネイ・ダルサラーム国≫

 ブルネイ・ダルサラーム国が2050年にかけて大きな成長をするのではないかと期待している。まずは国の基盤を成す人口から見ていきたい。日本は2021年に厚生労働省が発表したデータによると、死者数が145万2289人・出生数84万2897人という恐ろしい数字を叩き出した。死者数が出生数を倍近く上回ったということは、日本が無人島になる未来が現実味を帯びてきた。一方ブルネイは2004年から2013年までの年平均の人口増加率が1.7%であった。悪くない数値といえる。また平均年齢が少子高齢化社会となった日本では48.6歳、ブルネイは29.3歳であり、25~54歳の層が人口の約47%を占めているという。これは非常に大きいことで、活力ある経済成長が期待できる。

 人口の次に経済成長及び産業成長になくてはならないのが資源だ。ブルネイは豊富な石油・天然ガスを保有しており、ロ〇アのウクライ〇侵略で石油価格が高騰している昨今。石油・天然ガスを保有していることが外交的に、そして経済的にどれだけ大きな影響力を持つのかをまざまざと見せつけられた。ロ〇アのエネルギーに大きく依存しているヨーロッパ諸国は、ウクライ〇侵略が始まった当初、ロ〇アに対する経済制裁に及び腰であったことは記憶に新しい。ブルネイの財政収入の9割が石油・天然ガスの輸出により構成されており、ここまで過度な資源依存による経済は危険とも見えるが、私はそうは思わない。   

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 製品輸出の97%を石油・天然ガスが占めており、石油・天然ガスだけで9割もの財政収入を支えられるということは、このエネルギーを使用して、ブルネイ国内で盤石な基幹産業を構築することに成功すれば、飛躍的な経済成長を遂げることができる。また日本の対ブルネイ直接投資額も財務省国際収支統計によると、2009年は14億円であったが、2013年には48億円まで増加している。2014年段階でブルネイに進出している海外企業は5社のみであったが、ブルネイへの直接投資額が増加していることを鑑みても、これからグローバルなビジネスを展開していくことで、大幅な経済成長が期待できる。まもなく米中の冷戦が本格化して、世界でエネルギーの争奪戦がより過酷なものとなる。ブルネイはそうした渦中でも安定した資源供給ができる強みがあり、またその資源から生まれる産業によって2050年にかけ、大きな成長をするのではないかと見ている。


≪カンボジア王国≫

 2050年にかけて成長しない国だと予測されるのがカンボジア王国だ。まずはブルネイと同様にカンボジア王国の人口を見ていこうと思う。2008年に実施された国勢調査では約1340万人で、2013年には約1468万で大幅な増加傾向がある。年齢構造も高齢層が少なく若年層が多いピラミッド型で、24歳以下の人口が全人口の51.1%(2013)で経済成長が期待できる形といえる。


 しかし、カンボジア王国を2050年にかけて成長が期待できないと考えた大きなポイントは人口ではなく経済だ。世界各国からのカンボジアに対しての直接投資額が増加しているため、一見カンボジア経済が好調であるかのように錯覚してしまうが、私が重要視したのはカンボジアに投資している国だ。

上図:①SEZ内外の適格投資プロジェクト(QIP)
                    ②カンボジアを除く。各国・地域単独での投資。 
     [出所]カンボジア投資委員会(CIB)カンボジア経済特区委員会(CSEZB)
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 上図を見れば一目瞭然だが中国からの投資があまりにも多すぎる。

 つい最近、スリランカが国としての破産を宣告した。インフラ整備のために中国から湯水のごとくお金を借りていたスリランカは、思っていたように利益が上がらず借金を返しきれなくなったのだ。中国の債務の罠にはまり財政危機に陥ったスリランカでは、ガソリンスタンドに数日間並んだ運転手が車内で死亡した。薪の火で料理をしなければならないほど追い込まれている。一帯一路構想の本性が現れたのだ。これからスリランカに待ち受けているのは中国による内政干渉並びに港開発によるアジア経済圏への牽制。中国は日本と違いお人好しではない。中国がカンボジアに対してここまで莫大な投資を行ったということは、それ相応のリターンを求めてのことなのだ。


 昨今SDGsが騒がれており、太陽光パネルのような再生可能エネルギーに大きな注目が集まっている。世界に占める太陽光パネル生産の半分が中国製、その中の6割はウイグル自治区での強制労働の疑いを排除できないという。それに対抗してアメリカはウイグル強制労働防止法を施行した。ウイグル自治区での強制労働及び人権弾圧を容認できないというアメリカの強い姿勢が表れている。2050年にかけて米中の冷戦が激化するのは明白で、中国がアメリカとの戦いで疲弊した時に大きなしわ寄せが来ると予想されるのが、中国が莫大な投資をしてきた国々。下図は中国の対カンボジア品目別輸出である。

[出所]Global Trade Atlas (原データは「海関統計」)*3

 カンボジアが中国から最も輸入しているのはメリヤス編み物およびクロセ編み物となっている。理由としては縫製品の原材料を現地調達できないカンボジアは中国の輸入に頼らざるを得ないからだ。機械類並びに電気機器がその後に続き、全て国を支える貴重な物品だ。中国依存により経済成長を遂げているカンボジアは非常に危険で、米中冷戦の中、世界が中国に行う経済制裁への余波は間違いなくカンボジア経済を苦しめる。最後に待ち受けているのはスリランカのような経済疲弊、最悪のところ経済破綻。よって私はカンボジアが2050年までに経済成長が期待できないと判断した。


≪ブルネイ・カンボジア経済から見た日本≫

 ブルネイ・カンボジア経済を見て改めて実感したことがある、経済というのは国の安全保障と密接に関わっているということだ。日本にはブルネイのように豊富な資源がない。

 日本は資源のない国だと言われているが本当にそうなのか。オーストラリアの巨大な石炭市場を支えているのは、日本の株式会社小松製作所の機械である。小松の重機等に何か問題が生じれば小松の技術者がメンテナンスを行うために現地に赴くというほどのアフターサービスの徹底。日本には技術という素晴らしい資源がある。リニアもその一つだ。中国では既にリニアが走っているが日本のリニア程スピードが出ない。中国のリニア技術も元はといえば日本の技術だ。そういった日本人の血と汗と涙の結晶である技術資源を日本政府は死守しなければならない。

 しかし日本は諸外国からスパイ天国と言われるほど、産業スパイを駆逐する規制も法律もない。一刻も早くスパイ防止法を施行し、人間のスクリーニングを行う必要性を強く感じた。カンボジアのように中国依存を強めれば、その先に待っているのは中国の経済奴隷となる未来。

 政治家の誠に遺憾は聞き飽きた。日本の領土・領空・領海が守られなければ、経済発展も成し得ない。危機的な人口減が迫っている日本で、具体的な人口増加政策を一刻も早く打ち出さなければならない。世界で一番高い電気代を払っているにも関わらず、安定した電力供給がされないというのは論外だ。電力ひっ迫注意報を出して国民に節電を求めておきながら、EVのような奢侈品に多額の補助金を出すというクレイジーな政策は止めて、原発再稼働を視野に入れた安定した電力供給を確保し、円安をバネに外国から日本への工場移転を進め輸出産業を拡大することによる経済回復を計り、もう一度強い日本を取り戻してほしいと切に願う。



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【参考文献】 
①『アジア経済論』:北原 淳・西澤信善(編著)  ミネルヴァ書房
②『アジア進出ハンドブック』:三菱東京UFJ銀行国際業務部  東洋経済新報社
③『アジア経済ハンドブック』:神田眞人(編著)  財経詳報社
④『カンボジア経済の基礎知識』:道法 清隆・林 憲忠(編著)  日本貿易復興機構
  *1:③p.62  *2:④p.42  *3:④p.117

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