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園芸家のConcise dictionary: 生態系とInvasive Alien とペストソース

Native かNonnative かといえば Speakerと続きそうですが、今回はSpeakerではなくSpecies (種/しゅ)、植物のNative, Non native species についてのお話しです。

(園芸で、英語の語彙の日本語訳、日本語の語彙の英語訳というのがたまにあやふやになる自分のための忘備作業も兼ねて。)

生物でNative species かNonnative species というのは在来種か外来種かということなのですが、簡潔に言えば

● Native species = 在来種 : もともとその地域に生息していた種
● Nonnative species = 外来種 : 人間が(意図的であろうが、うっかりであろうが)他の地域から持ち込んだ種 

というふうに分類されます。

たとえば植物でいえば、日本の各地にはNative species のたんぽぽ、例えばエゾタンポポ、シナノタンポポ、カントウタンポポ、カンサイタンポポなどが多数生息していて、それらの多くはその地域の固有種 = Endemic species です。
けれども困ったことに、繁殖力の強いNonnativeのセイヨウタンポポが日本に生息するタンポポ全体の80%も占めているそうです。在来種を駆逐してしまう勢いです。

Nonnative species は時に同意語でAlien speciesと呼ばれます。外来種のネガティヴな側面を話題にするときにあえてこの言葉が使われるケースが多いように思います。私もそんな時にこのAlien speciesを使っています。 Nonnative/Alien speciesというと国内に対して外国から入ってき植物を想い浮かべると思いますが、国内であっても他の地域の植物が本来の生息地ではない地域に入ってきた場合、その植物はNonnative/Alien speciesにあたります。

その Alien speces の中でも繁殖力がものすごくて、在来種を駆逐する勢いのものを Invasive Alien Species、侵略的外来種と呼びます。セイヨウタンポポはまさにこれですね。
Invasive な植物というのはNative species の中にも存在しますが、在来種の存在を脅かしたり、生態系へのネガティブは影響を引き起こすのは、もともとそこの生態系に加わっていなかった Invasive なAlien speciesが圧倒的です。このInvasive Alain という語呂がいかにもワルな感じですね。

Invasive Alianはまるで猛々しい侵略家のようですが、なぜそんなに繁殖力が強いのかというと
● 侵入先の食物網(Food web)の中に組み込まれていないので、その植物を食べる天敵がいない。
そのため
● もともとそこに生息している植物との競争に優位なので、他の植物をさしおいて繁殖できる。
ということがあげられます。

繁殖の結果としておこる問題は、
● 在来種の生息場所を奪ってしまう。
● 在来種が無くなればその植物を食べていた、または棲み家などに利用してた生物が生きられなくなる。
それから
●外来種が在来種と交雑 (hybridisation)することによって交雑種が生まれ、新たな侵略者となる。
などがあります。

そして最終的に
●その地域の生物コミュニティのバランスがくずれる。ひいては生態系=Ecosystem に被害を及ぼす。
●Biodiversity, 生物多様性が失われていく。

Invasive Alien Species は侵略どころか破壊もしてしまうということなのです。

ところで、私は野草やその花や実をごはん、飲み物、お菓子などの材料として使うのが好きなので、季節の植物をよく採取しにいきますが、植物や種を採取する時に守るようにしていることがあります。
まずその地域の生物コミュニティ、生態系にネガティブなインパクトを与えないこと。特に希少植物には注意が必要です。希少植物は採取しません。
それから希少植物じゃなくても、そのあたりで数があまり多くない植物は遠慮します。もし十分にある場合でもNative species は生息している生物コミュニティ中の食物連鎖間でその植物を食べて生き延びている生物たちがいるので、もし採取する場合は少量だけおすそ分けをもらいます。それから必要な部分だけを採ります。葉を食べる場合は葉だけ、実を食べるなら実だけという具合に。

一石二鳥なのは庭や菜園に植えた植物を脅かしている野草(私たちが雑草と呼んでいる植物)たちを抜いて、食べられるものを料理に活用する術です。

Invasive alianはそこにある自然のなか(既存の生物コミュニティ)の雑草と位置付けられるので、気兼ねなくいただきます。

ロックダウン中の散歩中にみつけたこの地帯。

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この白い花を付けているのは、Three-cornered garlic (Allium triquetrum) 。地中海沿岸が原産の植物です。このクレイジーな拡がり方は完全なるInvasive Alienです。イギリスではこの植物を自然の中に植えたり、根っこの入った土を自然の中に捨てたりするのは犯罪にあたります。それも納得のこの驚異的繁殖力。この一帯を独り占めしています。この侵略のせいで犠牲になった生物たちが植物に限らず複数いることでしょう。

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今回は、これを採取してペストソースをつくります。採ったところで駆除には全く貢献できませんが、、


Three-cornered garlic の Pesto Sauce

15分ぐらいできる、フードプロセッサーなど使わない、シンプルにアレンジしたレシピです。だいたいの分量なのでお好みで調整を。

材料:
Three-cornered garlic ひとつかみ。繁殖していたイラクサ (Urtica dioica)とPink purslane (Claytonia sibirica)も少々入れました。
にんにく 1-2 かけ
パルメザンチーズ 50g
ナッツ 50g (よく松の実が使われますがお好みで。私は手に入りやすくてお手ごろなカシューとひまわりの種を使いました。)
レモンの絞り汁 1/2 個分
オリーブオイル 150 ml 
塩 (もし塩加減が足りなかったら)

1. 採ってきた葉をよく洗い水をきります。

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2. 葉っぱ類、にんにく、を細かく刻みます。
3. ナッツはフライパンで軽く炒って香りを出してから、すり鉢でするか、袋に入れて麺棒などで叩いて細かくします。

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4. 2と3をボールに入れ、チーズをすり下ろします。
5. レモン汁とオリーブオイルもいれます。

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6. よく混ぜてからて味見をし塩加減が足りなかったら塩をいれます。

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出来上がり。

今回はパスタと和えました。お肉や野菜などいろいろ合います。パンにぬってもおいしいです。

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シャキシャキ感と程よいニラのようなフレーバーでおいしいです。チーズとオリーブオイルたっぷりなのにサッパリしてどんどんすすんでしまいます。

みなさんの近くにもきっと Invasive Alien な植物がいるはずですので、観察してみてください。この生態系被害防止外来種リストは日本の植物を観察する時の良い参考になりそうです。

食べられるInvadive  Alian をみつけたら(*注 それが食べられると確信できる場合のみ)、お料理の材料に加えてみてはいかがですか?生態系について考えながら野性味豊かな旬の植物を味わってみてください。




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