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「決めてくれたら作ります」とは言わない!

システム開発のプロジェクトで、しばしば耳にする言葉。

「決めてくれたら作ります」
「仕様が決まらないから作れない」

これは、正論です。

決まってもいないものを、勝手にプログラミングなんてできません。そんなものが、いつの間にか納品されて稼働して、何か問題があったら、

「なぜ、そんな仕様になっているんだ!」

と、お客様に責められるのは目に見えています。

決まらない事情もさまざまで、理解できないわけではないです。
冒頭のような言葉を発する気持ちも十分わかっています。

でも、言わない方がいいと思っています。

せっかくだから、仕様が決まるプロセスに関心を持つとか、お客様が決めかねているところを、決めやすくするような案を出すとか、資料を作るとか、そういうことに時間を費やす方がいい。

多くのお客様は、システム開発というプロジェクトに関わった経験が少ないものです。


自分たちが普段やっている、業務の内容を明確にするだけ、といくら説明しても、何を明確にするのか、何が伝わっていないのか、なかなか理解できないものです。

多くの場合、「お客様が決める」のを待っていても、なかなか決まらないものです。


こちらには、決める権限も義理も無いけれども、

「決めるとすれば××か△△という結果のどちらかですね?」

と水を向ければ、

「いやいや、××にはリスクがあるし、△△には時間が足りない。せめて〇〇か◇◇に決めたいんだが...」

などと言ってくれたりします。

あえて、却下されるようなことでも具体例を示せば、しっかり否定して却下してくれます。

ほとんどの人は、何も意見が無い時に具体案を出すのは苦手です。

けれども、他人が出した(ツッコミどころのある)意見のダメな点を指摘するのは超得意です。(たぶん、私も。)

なので、超得意なダメ出しをするよう、誘導すれば、その流れで具体案ぽい話がでてきたりします。そこを上手に拾って、膨らませれば、決まらない話が少しは動きだしたりするものです。

もちろん、いつもいつも、そう上手くいくわけではありません。それに、わざわざ、却下されたり、ダメ出しされるのが目に見えるような話を持ち出すなんて、面倒くさくて、うんざりします。

けれども、何か決めるのは、事の大小に関わらず、面倒くさいものです。

少し古い本ですが、「ヒーローーを待っていても世界は変わらない」(湯浅誠)という本を読みました。この中に、以下のような文章がありました。(みんなが面倒くさがっているから。)

「要求はする、しかし調整はしない。」
「誰かが調整してくれ。ただし、自分の要求を通すように」
「さっさと決めてくれ。ただし、自分の思うとおりに」

話の規模や次元が違いますが、システム開発のプロジェクトにおける多くの顧客や利用部門の人たちも、

「仕様の要求はする。説明や調整はしない。」

「さっさと作ってくれ。ただし、自分の思うとおりに」

という感覚なのだと思います。

顧客や利用部門の人たちに、決して悪意は無いのだと思います。業務をシステム化するために、何を伝える必要があるのか?仕様や条件と呼んでいるものが、自分の業務の中のどれなのか、わからないだけなのです。わかったとしても、それを伝えるということに慣れていないだけなのです。

ずっとその業務を行っている人たちにとって、「当たり前すぎること」や、「そんな条件、発生するはずがない」ことばかりを、システム開発担当者は質問してきます。彼らにしてみれば、説明のしようがないようなことばかりです。

けれども、そこを明確にすることで、業務の見直しができるし、より効率的なシステム構築につながることを、丁寧に、繰り返し説明していく必要があります。

面倒で、うんざりして、疲れる。

そんな作業の繰り返しです。

決まったことを、コーディングするだけなら楽です。

でも、その前に。

面倒で、うんざりして、疲れる。

そこを、しっかり対応できれば、いい結果につながります。個人としても、他の担当者と差別化できます。みんなが面倒くさがっていることに誠実に向き合う人には、きっとニーズがあります。

だから、「決めてくれたら作ります」とは言わないように心がけています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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