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世界のおわりに

世界の終わりに、人々は抱き合うと思うよ。
あなたはわたし。
わたしはあなた。
そんなことに気づいて、きっと。
絶望にすら疲れて、悲鳴をこぼした唇の渇きを、そっと潤すように。
まだ知らないあなたの名前をつぶやくだろうよ。


誰も彼も知らない場所で立ちすくんだ時。
そこには私と同じ幼いあなたがいる。
たくさんのわたしがいる。

大切な誰かを想いながら抱きしめた相手のことを、決して身代わりにするわけじゃない。
抱きしめたその人にもきっと、大切な人がいるのだと、想像するのだろう。
だから、あなたを抱きしめる時、私はわたしを抱きしめているの。
肌から伝わる温もりが、私の大切なあの人と少し似ているはずだから。
誰も彼も、温度を持っている。
そんなあたりまえのことにようやく気づいて、
人々はきっと言葉を忘れるだろう。

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