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療育花育の記録 ともくん#4
ともくんは、平成25年生まれ。障害名はついていません。いわゆるグレーゾーン。普通学級に1年通い、勉強も頑張りました。2年生からは、障害クラスに入り、お母さんもともくんものびのびたのしく生活できるように少しづつなってきました。いきものが好きで、カマキリを飼ったり、抜け殻を収集したり、遺跡を掘りに行くのが好き。いろんないきものにとても興味があり、調べるのも得意。おともだちからは、いきもの博士と呼ばれることも。
20231016 テーマ「引き続き死生観を探る」
親御さんから
今回は、本人にどうするかを任せて、親は何も言わずお花も買わずほっといてみる。本人が用意しなかったらしなくて良い。できなかったら、自分で謝ってみるとかできなかったという体験になれば良いからということを言われていたので、何も一切言わず本番を迎えました。
今回はいつまでたっても動きがなく仕方がないので始まる5分前にパソコンの前に座らせると、17時半時間がきたとたん「お花どうするん?」と聞いてきて、すぐに自分で外に走って行って庭に咲いているお花をとってきて、トイレに行ってやっと始められる体制ができ時間より少し遅れてのスタートとなりました。
でもちゃんと用意しなければいけないことは分かっているんだなとホッとしました。。
先生が初めに前回のともの気持ちが嬉しかった。お母さんが骨になったからお墓に入れて土に返してあげたよという話をしてくださいました。
すると花と海の図鑑を持って来て、パソコンの前で開いて先生にみてもらう行動をとり始めました。花や木々のページを見てもらいながら、「水バージョンを見よう。」と言って海の生き物のページをめくりながら、ウミガメが怪我をしているページでページをめくる手が止まり、先生によく見てもらいたいのかカメラをグンと近づけて「カメ、かわいそうなの。ケガしてる。」とつぶやいたのです。
先生が「とも君、ケガした事ある?」、知樹は次のペ―ジをめくりながら「死んでるの。」「食べられるんだよ。ヤドカリに。」と話し、先生「ともくんは牛や豚の肉食べてるよね。先生は昔、熊の肉を食べたことがある。」と話をしてくださったのです。
熊が出てきて、クマを鉄砲で打った。皮をむいて肉にしてみんなで食べた。みんなで食べることで供養した。食べた人の体に熊が入って一緒になって生きていく。
先生の体にも入る。とも君も食べたら一緒に生きていく。魚も食べたものと一緒に生きていくんじゃないかなというとお話をしてくださいました。じっと聞いていました。
前回から見ていて、ともの中にいのちの循環というテーマがあるように感じます。発達に遅れがあるからそれを自分で特に言葉として理解して表現することは難しいと思うし、分からないところかなあと思います。なかなか自分の言葉にすることができない分感覚的にこうやって図鑑の生き物を通して表しているのかなとも思えました。
花器も道具も全然用意してなかったので、先生が何に生けるか聞いてくださって、自分で花瓶を選びに行って水を入れて来たり、新聞紙を取りに行ったり、ボールに水を入れて用意ができました。その姿を見てとても嬉しく思いました。
お花を生ける時間になると、今回もスイッチが入って真剣に集中して生けることができていました。水切りもちゃんと一本一本丁寧にしていました。
生けた後に、庭に自然に咲いていた花だったので葉っぱに虫の卵がいっぱいついていたらしく「嫌だ。」と言ってハサミで切っていました。葉っぱ一枚一枚よく見ているんだなと思いました。
先生に見てもらうと、いつものごとく次々と思うものを取りに行って、今回は鬼滅の刃のフィギアの人形を飾って、貝殻を飾って、前回からの枯れてドライフラワーになったお花を飾り、セキセイインコの鳥かごを持って来て飾りました。お花だけにとどまらない知樹ワールドがおもしろいなあと毎回思います。
先生もいいねと言ってみてくださって「ともくんはお片付け上手になったから、お花も上手になったからびっくりした。」と言ってくださいました。とても満足そうにしているともの表情がてとも印象的でした。
最後にちゃんと「ありがとうございました。」とあいさつができたので、とても嬉しく思いました。その後片付けもちゃんとしておばあちゃんちに行ったので、積み重ねていくことでできていけるようになるんだなと実感しました。
その後は、お花のお世話はせず、段々枯れていったお花を未だずっと飾っています。三週間くらい経ったころ、お花に種ができていることを発見し自分で種をとりました。「春に植えるんだ。」と言っています。見ていないようでちゃんと見ているんだなと感心しました。
家族のみんなが「今回も良いね。」と言ってくれると「良いでしょ。」と言っていました。
お花屋さんの前を通ると「僕お花好きなんだよね。」と言っていました。
毎回成長がみられ嬉しいです。積み重ねていくことの大切さを実感します。生けた花は枯れてもずっと飾り続けています。枯れてもずっと大切に飾り、そこから種を取り、ともなりにいのちの循環をさせていくことができるのかなと期待します。
森先生のいのちの循環のお話はきっと心に残っていくことと思います。いつも森先生が、時間をかけて寄り添い、引き出しを開けて下さることで知樹らしい表現ができること、その姿を見ていると明るい希望がもてます。
この子はこの子で良いんだと。今回もありがとうございました。
写真記録
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前回を踏まえた検証と考察
>1彼の枯れた者たちへの興味・関心の度合いを探ってみる。死生観とそれは、別か、否か。
ー今回の段階では未だ不明
>2地球上の生命循環の話を花でしてみる。(様子を見て可能そうであれば)
ー私の母の納骨の際の話をしてみた。お墓の底は土だったので、土にかえる話。
結果、生と死をいっしょに入れた作品となった。
人も花も同じ生きものという表現を、人形でしていた。
>3今回は、スムーズに、気構えることなく、創るときの集中力はそのままに、話しながら生けていたので、安心感なのか、慣れたのか、何なのか、
なぜ、それができるようになったのか、1つに集中するだけでなく、話ながら集中できた理由を観察する。
ー今回は、緩急と抑揚がはっきりしていたため、引き続き観察。
>4まだ出していない感覚があるか。自由表現での全肯定を続ける。
ー出だしがお疲れモードで、奥まで届かなかったの、引き続き要観察。
現場から
今回はその日なにがあったのか、お疲れモード。スイッチが入るまでに時間がかかったが、その間、私に図鑑をみせてくれながら、間を持たせているともくんの人とのコミュニケーション力はすばらしい配慮。
彼にはコミュニケーション能力はあるのでは?どちらかと言えば、対応表現力なのではないか、もしくは言語表現力か。
わかる人にはわかり、わからない人にはわからない、、というような。
要観察。
しかし、この年齢でそれが身に付いているお子さんもいるのは確かだが、私個人的には、まだ必要ないのでは、と思ってしまったり。
花に向き合うとスイッチが入り、人の話が聞こえないくらいのすざまじい集中力を見せた。
今回は納骨の話をした。土にかえる話。
彼の中で、死は死ではなく、死んだものへの物体感もなく、好きで興味があって集めているコレクション的な感覚に思えてきた。
10月末にともくん会いにいくので、枯れたものだけで、人の手によって美しくなることを、実際に手で表現してあげたら美しいと思う情緒的なこころの未知の世界の感性が感覚的に入るのではないか。
次回考察
1 枯れた植物への興味関心を引き続き観察
2 新しい感性を入れてみる。会った際に、枯れたコレクションでいっしょに作品を創ってみたい。
3 表現力を中心に観察してみる。(言語表現・対応表現などなど)
―to be continued
2003年から一万人以上の方に花育をしました。現場でどんな風に、どうしたか、結果どうか等、遺さないまま頭の中にあり、書きのこして、いつか誰かの役にたったらいいな、と思い書き始めました。サポート励みになります。活動費として使わせていただきます。よろしくお願いいたします。