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手紙と贈り物

こんばんは。

三寒四温は元は冬の季語らしいというのは最近知ったことのひとつです。
現代では、2月から3月初め、まさに最近のような気候をさす言葉として用いられますが、本来は1月から2月にかけて使用されるようで、手紙の時候の挨拶として「三寒四温と言われている季節、寒い日が続いておりますが、ご健勝のこととお慶び申し上げます。」というように用いられています。
そうはいうものの、多くの所要はLINEやインターネット上で完結するようになった昨今では、手紙を書く機会自体が貴重かもしれません。
コロナ流行前に新入社員を指導していた折、訪問のお礼状について、手紙の基本ルールから教えたのはまだ記憶に新しいことです。

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日常の話すときには使用しないものの、手紙の表現で用いる季節の表現には、美しい言葉が沢山あります。
春の虹、向春、東風吹く季節、春光天地に満ちる。
梅、寒緋桜、桃、桜と花の頃を追いかけるように移り変わる表現。
文字で目の前にない情景を受け手に伝える、書き手の想いを想像するという時間は精神的なゆとりと豊かさが必要かもしれません。
表現によっては、和歌のように言葉の原典にまで思いを巡らせ、したためる。
書き手と受け手の双方の教養レベルが類似しなければ、成立しない言葉遊びのような印象も受けます。

特に春は新緑の季節への移ろいゆくまでの表現が秀逸で、古今和歌集の中でも鮮やかで情景や色彩が想起されるような歌が印象深いです。
現代では年中多くの植物を楽しむことができるものの、今この時、限られた瞬間に目にするものを言葉で表現するという感性は、私自身幼少期よりも随分衰えてきたと危惧しております。

さて、この時期の私の楽しみの一つが、可愛らしい和菓子です。
子どもの頃には美味しさもありがたさも感じなかったのが不思議なほど、今になって良さがわかるようになったもののひとつでもあります。
昨年は外出の機会も激減した分、普段は足を延ばさぬ遠方からのお菓子のお取り寄せにも手を出しましたが、親しい方への贈答用にも素敵だと思ったお品に巡り合うことができました。

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先日折しもインタビュー記事の掲載もありましたが、三納寛之さんという方はフリーランスの和菓子職人さんのようです。
従来はお店に所属するのが当たり前という業界の中で、お店の看板ではなく一個人としてのお仕事で活躍なさるという新しいスタイル。
実店舗を構えず、WebでのPRや販売が主流のようですが、大人気のようで一度頂いて以来、なかなか入手できずにおります。
※画像は公式Twitterよりお借りしております。

美しさもさることながら、味覚でも予想外の感覚を得ることができることが魅力的です。
冬にいただいた種類は中にはフランボワーズの餡が入っており、お気に入りの紅茶とも好相性でした。


また、ちょっとしたギフトに次回使いたいと思っているお品がこちら。
日本酒ともよく合うということでおすすめいただいたお菓子ですが、山椒オランジェットが特にお気に入りです。
和と洋のマリアージュが楽しめる上に、箱もスタイリッシュでお遣物にも喜ばれそうなお菓子です。
※画像は公式サイトよりお借りしております。

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kantannayumeさんのお菓子は、スタイリッシュで和菓子よりもwagashiという表記が似合うお品です。
人の世の儚さが表現された中国の故事である「邯鄲の夢」に由来しているという、ニヒルな名づけ。
和菓子があまり得意ではないという方にも喜ばれそうなので、好みのチョコレートを交換し合う友人へのプレゼントにも最適ではないかと、心のギフト商品帳に加えました。
ただし、こちらも実店舗でのお取り扱いは多くはないようで、公式サイトからの通販での入手が確実なようです。

双方に共通するのは、開けた瞬間の驚きです。
手紙と同様に想いを届けるギフト選びは、差し上げる方へ向けた気持ちを込めたものです。
相手を想像しながら筆を執るように贈り物を選ぶ瞬間、相手の好みに思いをはせ気に入っていただけるものを真剣に吟味する。
そこには語彙力と同様にセンスと引き出しがあることで、多様性が増すのではないでしょうか。
外出自粛の今だからこそ、思いを込めたギフトやお手紙を送ってみるのもよいかもしれません。

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