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今週の読書録

しばしため込んでいた小説をまとめ読み。
今回は小説5冊を読了。

祝宴

温又柔さんの『祝宴』は、中国や台湾にルーツがあり日本で生活する家族を核にしたお話。
次女の結婚式の夜、自分が最も理解していると自負していた長女からのカミングアウト。
家族とは?普通とは?似たような環境でも人の数だけある普通。
普通とは比較するからこそ考える価値観かもしれないと感じた作品です。

我最愛的家人。娘を誰よりも理解したい、けれど――。気鋭の新たな代表作。
「私は、彼女のことを、秘密にしたくないの」。長女が同性の恋人の存在を告白したのは、次女の結婚式の夜だった。戸惑う父は、娘にふつうでいて欲しいと願ってしまう――。日本で外国人として育った娘、外省人の祖父、日本、台湾、中国で生きる父。いくつもの境界を抱えた家族を、小籠包からたちのぼる湯気で柔らかく包み込む感動長編。

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芦屋山手お道具迎賓館

高殿円さんの連続刊行作品からまずは『芦屋山手 お道具迎賓館』。
戦国時代有数のミステリーである本能寺の変と付喪神化した織田信長縁の茶道具たちをテーマにした異色の小説。

高殿さんファンだけではなく、茶道具や歴史好きにも楽しめる作品かもしれません。
幻の茶器が当時はお茶漬け用の茶碗にされていたなんて?!
諸説あるものの、歴史の側面がコミカルに描かれた気軽に読める一冊です。

〈『トッカン』『上流階級』著者最新作にして、初の"茶道具擬人化"小説!〉 〈誰も知らない織田信長を、お道具さんたちは知っていたのです〉 神戸山芦屋のとある古い館で、本能寺の変で焼失したとされる名品「白天目茶碗」が掘り出された。ところが、白天目茶碗の 付喪神である「シロさん」は、どうして自分が割れずに残ったのか、自分自身の来歴さえ思い出せない。シロさんはなぜ芦屋 に埋まっていたのか? 本能寺の変の真相は? シロさんの持ち主である「先生」、茶道具を偏愛するアラブ人の「ほうっかむ りさん」、そしておしゃべりで無邪気なお道具たち(※国宝級)が繰り広げる、異色の骨董ファンタジー! 【信長が愛した幻の茶道具が、もし現存するとしたら──。『トッカン』『上流階級』著者最新作にして初の"茶道具擬人化"小説!】

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上流階級 富久丸百貨店外商部 4

同じく高殿円さんの『上流階級 富久丸百貨店外商部』は気づけば既に4冊目。
メディア化もされた作品だけに幅広いファンがいそうな本作ですが、主人公は着々とステップアップを重ねています。

同世代の身としては、今回の体調不良もリアルに感じた要素の一つ。
世相と働く女性の実態を反映させながらも、華麗な別世界を共存させる高窓さん作品の中でもお気に入りのシリーズです。
働き続ける女性が共感できるようなエピソードが重なり、自分がもしも入院手術が必要になった際には誰に保証人を頼むだろうか?と考えてしまいました。
人との繋がりについても思いをはせるようなストーリーで一気読みしてしまう安定の面白さ。
ラストは早くも続編を期待させる流れで、また1年後のお楽しみです。

爽快お仕事エンタメ、重版続々のシリーズ!

富久丸百貨店芦屋川店の外商員として働く鮫島静緒。バイトたたき上げからのアラフォー、ついに全国売上トップ10入りに! セレブ達の、お金では解決できない悩みを斬新なアイディアと真心で解決し、目下、京都老舗お嬢様の起業のお手伝いに、ニューリッチのアート投資家と高級官僚の娘との婚約に関わったり。そんななか会社が合併! 静緒は社内政治に巻き込まれて多忙を極め、やがて身体を壊す。「私にとって幸せなことは?」と、人生の原点に立ち返る静緒が見えてきたものと新しいお仕事スタイルとは!?
もやもやが吹き飛ぶ、爽快お仕事エンタメ! 同居するゲイ男子との生活も楽しい、ドラマ化された人気シリーズ!

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島津三国志

井川香四郎さんの『島津三国志』は、鈍器サイズの650ページ超え。
島津家中興の祖として有名な島津義弘。
戦国時代好きならば一度は目にする島津ファミリーの幼少期から老年期まで、九州の一大名から九州の雄といわれるまでに拡大した一族に焦点を当てた本作。

関ヶ原の戦場突破はクライマックスではなく冒頭に配置され、大河ドラマのような構成で描かれる流れに、厚さも気もせず夢中で読み進める。
昔語りの聞き手はまさかの人物で、歴史好きには楽しい演出も。

西郷隆盛ら幕末の薩摩藩士たちが尊敬・崇拝していただけでなく、今も尚、鹿児島の人たちに愛される戦国時代の猛将として名高い島津義弘。『信長、秀吉、家康たちが台頭していくなか、鎌倉時代から続く島津家を存続させるだけでなく、広い視野で九州を平定しようとした島津義弘と兄弟たちを描く長篇歴史小説。

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一橋桐子(76)の犯罪日記

『一橋桐子(76)の犯罪日記』は最近メディア化で人気の「三千円の使い方」、お気に入りの「ランチ酒」シリーズの作者でもある原田ひ香さんの作品。
こちらもメディア化されただけに本屋さんでも目立つ位置に積まれていました。

少子高齢化に伴い、実際に起こり得そうな展開。
まだ働けるものの、年金とパート収入だけでは心もとない…孤独な高齢者がたどり着く先は。

原田さんらしいリアルさがありつつも、少しの救いがあるラストにちょっとほっこりする作品でした。

人に迷惑かけない老後を送るためには、どう生きればいい?
老親の面倒を見てきてた桐子は、気づけばたったひとり、76歳になっていた。
両親をおくり、わずかな年金と清掃のパートで細々と暮らしているが、貯金はない。同居していた親友のトモは病気で先に逝ってしまった。
唯一の家族であり親友だったのに……。
このままだと孤独死して人に迷惑をかけてしまう。
絶望を抱えながら過ごしていたある日、テレビで驚きの映像が目に入る。収容された高齢受刑者が、刑務所で介護されている姿を。
これだ! 光明を見出した桐子は、「長く刑務所に入っていられる犯罪」を模索し始める。

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