見出し画像

【詩】上手に生きる

つかまらないタクシーに
やっと乗れる夜

さっきまで馬鹿みたいに
笑っていた隠れ家的な店

自分の顔にうつる街の明かり


思いっきり楽しんだ後に
頬に流れる涙

走っている
走り続けている

流れる涙の意味はわからない


家の手前で降りるタクシー
セキュリティキーで入る家
階数を押して溜息をつく

家族に見せる顔は
いつも通りに

求められる像を
求めている

手に入れたいものは
手に入れた

用意されたレールにきちんと乗って
レールを外れることもなくここ

持たないものの気持ちはわからない
持っている自分の気持ちもわからない

上手に生きているように見え
その中にあるのは空洞

空洞が見える前に
忙しくして帳消しにする

羨ましくないはずの人が
羨ましくなる

褒められて崇められて
大事な物のない自分を保つ

生きるって何だろう
そんなことを考えないために

レールの上をひたすら走る
虚ろな心を埋める薬を下さい





この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,895件

#私の作品紹介

96,611件

書き手としてサポートしていただくと励みになります。サポートしたいと言う優しい方々、心の広い方々よろしくお願いします🎵