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向暑はる
2022年3月6日 19:55
彼女が勧めてくるアーティストはイマイチ好きにはなれなかった。好きになろうと何度も曲を聴いたけど、向暑はるの耳と感性にはしっくりこなかった。でも彼らの曲を聴いて喜ぶ彼女を見て、彼らのことを心から感謝したりした。今になってそのアーティストが好きになっているのは神様のちょっとした嫌がらせなのかもしれない。あの時の黙ったまま泣いた彼女は、何もできなかったのではなく、むしろそこで”答え”
2022年3月2日 19:50
国道沿いの横断歩道で手を繋ごうとした。恥ずかしいからと断られたけど、横断歩道を渡った後の狭い路地で手を繋いだ。春というには遠すぎる、肌寒い帰り道だった。昔の人はよくこの季節を春と言ったものだ。古典の授業で習ったばかりの旧暦を振り返った。向暑はるは、その季節を乗り越えた後に咲く”桜”を楽しみにしていた。隣の小さな手を握りながら、一緒に観にいこう。なんてことは言えなかっ