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文系大学院留学に必要なもの②〜Statement of Purpose編

こんにちは、Harryです。

私は現在アメリカの文系大学院の博士課程に通い、文学や映画などの研究をしています。

以前の記事で触れていた通り、今回はStatement of Purposeについて書いていきたいと思います。

「物語中で銃が登場したなら、それは発砲されなければならない」というのはナボコフの創作理論ですが、文学文化研究者っぽくそういううんちくも小出しにしながら、きっちり伏線を回収していくスタイル。


ちなみにナボコフとは、ウラジーミル・ナボコフという20世紀中頃にロシアからアメリカに亡命した作家です。

代表作は『ロリータ』。

ロリータ・コンプレックスという言葉の元になった小説として有名ですが、キューブリック版の映画は見たことあるけど、原作読んだって方はそんなに多くないのでは?

元の英文が激ムズなので、オススメは新潮文庫の若島正訳『ロリータ』。

最低2周読んでください。

若島氏の細部までこだわりまくった翻訳の真髄が見れます。

で、その後に同著者の『ロリータ、ロリータ、ロリータ』という研究書を読むとなお理解が深まります。

また若島氏は、かの藤井聡太氏も愛読したと言われる『盤上のファンタジア』で有名なチェスプロブレム作家でもあります。

早くStatement of Purposeの話をしろ?

まあ待てよ。そのうちするから。いいからもう少しこっちの話をさせてくれ

で、『ロリータ』なんですが、なぜ2周読むことをオススメしているのかというと、小説がそういう構造になっているからです。

二回読むことで、仕掛けられた伏線が回収でき、点と点が繋がります。

気づいたら君も「魅惑の狩人」(enchanted hunter)の仲間入り!

ハンバート・ハンバートと一緒に消えた美少女(ニンフェット)追っかけ回そうぜ!!


・・・お前ナボコフの話したいだけだろとか言われかねないのでそろそろ英語に戻ります。



はい、では今回はね、Statement of Purposeね。

うん、留学したら何研究したいか具体的に書いて!

終わり!解散!みんなもナボコフ読もうね!




って書くと怒られそうなので、真面目にやりましょう。

と言っっても私のケースを紹介するだけなので、どこまで有効かはわかりませんが、少なくともそこそこいい大学には通用すると思います。

なお苦情は一切受け付けません。


で、これ大体3ページくらいのものを提出するのですが、ここでは先行研究から導き出された問いに対して自分がどう応答するのかを書きました。

Academic Paperの方で具体的に書いたことを簡略化して、自分の研究の価値づけを行なっているようです。

行なっているようです、と他人事のように言っているのは、ぶっちゃけ何書いたか覚えないからです。

過去の書類を引っ張り出して書いています。

真面目なこと書いててえらいなー、過去の自分。


で、Statement of Purpose自体の構成なのですが、なんかわざわざ文章でいちいち説明するのも面倒なので、まずはとりあえず箇条書きで紹介していきましょう。

3ページ、7段落構成。


・第1段落、どんな研究したいか

・第2・3段落、どんな経緯でその研究に至ったか

・第4段落、先行研究の欠点の指摘

・第5・6段落、その欠点を補うための自分の研究の価値づけ

・第7段落、出願先大学院におもねるための世辞


簡単に説明しよう。

といいつつ、第1段落はもう説明不要でしょう。何したいか書いた。

第2・3段落では、自分のこれまでの研究実績とか、お世話になった先生の影響とかを自分の研究に結びつけました。

こんな論文これまでに書いてー、とか世界的に有名な先生からアドバイスもらってー、とか。

第4段落では、そんな自分の研究が貢献する分野の現状とそれに対する批判。

第5・6段落では、いかに自分の研究が当該分野へ貢献するか。

これはガンガンアピった方がいいですね。もうくどいくらい。

第7段落は、もうI am convinced that ~とかI strongly believe ~とかそういう表現で出願先の大学院と自分の研究がいかにマッチしているかを書きました。

所属している先生の名前とかポンポン挙げて、可能であればぜひ彼らの論文や本に言及しながら、こういう先生たちと研究したいです!って書くと有効だと思います。

個人的には、このマッチングというのが非常に大事なのではと思っています。

アメリカの人文系の博士課程の選考って、この人と研究したら面白そう!うちの研究科に来てもらったら何かやってくれそう!って思ってもらえるかどうかがでかい気がするんですよね。

なので、ここは下調べきちんとして、出願先の大学院に媚びまくってください。

中途半端なのは一瞬で見抜かれますが、真摯な媚び方だったら、きっと喜んでもらえると思うんだよなー。



というわけで今回はStatement of Purposeについて書きました。



終わり!解散!みんなもナボコフ読もうね!!!!


ではまた次の記事で。

Harry

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