麦茶に砂糖を入れなくなったとき、すこしだけ大人になった
小学校高学年まで麦茶に砂糖は必須でした。麦の香ばしさを苦味と感じていたのです。
グラスに注いだ麦茶に、スプーン1杯の砂糖。上手く溶けず底に溜まってしまうときもあるけれど、それがたまらなくおいしかったのです。夏の定番でした。
その日は突然やってきて、わたしは飲み慣れていたはずのそれを飲み込むまでに時間を要しました。
昨日までおいしかったのに、どうしてだろう。今日は甘くて気持ち悪い。
半分以上残った砂糖入りの液体をシンクに流し、洗いだグラスに注いだのはそのままの麦茶。口に含めばすっきりとした味わいと鼻に抜けるたまらない香ばしさが広がりました。苦くないし、ウソみたいにごくごく飲み込めます。
空になったグラスを見つめ麦茶ってこんなにおいしかったんだと思うと同時に、ちょっぴり切なくなってしまいました。ほのかに透き通る茶色のお茶本来の味を楽しめるようになったわたしはすこしだけ大人になってしまったのだと。
今日も汗をかくグラスを傾けながら、麦茶をおいしくいただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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