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ベートーヴェンを毎日聴く82(2020年3月22日)

『ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 op.58』を聴いた。

ピアノ独奏で静かに始まる協奏曲は、この時代には他に例がないだろう。

そんな革新的で不思議な感覚をもったこの協奏曲は、意外にもクラシック音楽を聴き始めたばかりで、右も左も判らない頃のわたしを、なぜかグッと掴んだ。

一番心を捉えたのは第3楽章。静かに開始される音楽は、徐々に小気味よいオーケストラとピアノの掛け合いになっていく。

それは最初は長いフレーズなのだが、だんだん短く、お互いチョコチョコ、ちょっかいを出しあうようになる。

そしてオーケストラが突如強く、パパパン!と弾けるように鳴りだすのが痛快である。そして、テンポが高まり駆け抜けるようなフィナーレは爽快感がある。

繰り返し聴いた作品なのだが、短くミステリアスな第2楽章はとても不思議な思いで聴いていた。

強めのオーケストラと優しいピアノが代わる代わる演奏される、この美しくもメランコリックな音楽は何を訴えているのだろうか、と思いながら。

メンデルスゾーンやシューマン、ショパンにリストというロマン派のピアノ作品を多く作った作曲家は、この作品がお気に入りだったらしい。

幻想的なピアノは、彼らの心を強く捉えたのかもしれない。


(記:2020年11月17日)

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