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偉大な発明の数々を学び、今後の人類のことを思う。「発明は改造する、人類を。」を読んだ。

発明は改造する、人類を。


「仮面ライダー本郷猛は改造人間である」
こんな語りが出てくる仮面ライダーのオープニングテーマを思い出してしまった。

この本に書かれている「改造」は、本郷猛が受けた改造とは異なるが、確かに我々人類は、人類に至るまでの過程を含めて多くの「改造」を受けてきた。

エラ呼吸から肺呼吸に改造して海から陸へ活動の場を移し、4足歩行から2足歩行へと改造することで脳を大きく改造し、手指を改造して道具を生み出した。

それに所要した時間はとても長いものであったが、ごく最近、短期で行われた改造の数々が、この本には興味深く書かれている。

元々人間の睡眠時間は2つに分割されていたという。夜、寝床につくと3時間半ほどで目が覚め、しばらく(約1時間程度)起きた後、また3時間半ほど寝る、という具合である。しかし、人工の照明が発明され、時間という基準が発明されたことで現在のように分割されない睡眠に変わったという。

そして、正確なクオーツ時計の発明は人類にさらに正確な時間をもたらした。鉄道が間違いなく運行ができ、人々が交流することができ、社会の発展にも大きく寄与することになった。しかし、その一方で睡眠不足や日々時間に追われる、という人類の体に影響を及ぼす現象も新たに登場させることになった。

これらは人類を、外見ではなく内面の「改造」をしたと言えるだろう。

また、エジソンの蓄音機は音声を蓄え共有するだけでなく、レコード盤からコンピューターの記憶装置へとつながり、膨大なデータをある特定の場所に蓄積。今では考えても答えがわからなければググることで、瞬時に得ることができるようになった。人類の脳を新たに別のところに作り、自らの脳の使い方を変えたとも言えるだろう。

モールス信号などの電信技術は遠隔地に素早く情報を伝え、実験用ガラス器具はペニシリンなど新しい薬の発見に貢献、治療が困難だった病を無くした。

人類の改造は、外見では変化がないものの、昔に比べて圧倒的なスピードで行われている。

そう言えば、子供の頃に読んだ学習雑誌に将来の人間の姿がイラストで描かれていた。それは、脳が更に発達するので頭でっかち。物をとることも、移動も自分ですること無く機械が行ってくれるため手足が細い。タコの様な姿だった。

わたしが思うに、今のところはそのような姿にはならないだろう。でも人類はこの先、どのような改造が施されていくのだろうか。

現在のパンデミックも含め、新たな発明をしながら次々押し寄せる難局を乗り越える。

すべての人類にとって「よい改造」が行われることを望むばかりだ。

「発明は改造する、人類を。」
アイニッサ・ラミレズ(著)、安部恵子(翻訳) 柏書房


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