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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~㊾


「何一つ確信めいたものが感じられないから、余計に不安になってくるのかな・・・」

結局、(今出来ることを一つづつ積み重ねる)ことしか、ないのかもしれなかった。

「もう、食べたいんだったら、不安な自分を振り切って、切り替えて買い物に行こうかな」

食べたい猛獣に襲われたら、私に勝ち目はなかった。我慢出来るはずもないのに、部屋でどうしようか迷いながらイライラを募らせるくらいなら、さっさと切り替えて食べたいものを買うことが、今の私には必要なことなのかもしれなかった。

「これも、先生の言う(自分で自分を満たしてあげて、自分を大切にしてあげる)ことなのかもしれない・・・」

今日は、ほんの少しだけ気分を変えて、いつもの(コンビニはしご)じゃなくて、少し遠いけどスーパーに行ってみることにした。

「売り場の広さがコンビニとは比べ物にならないから、デパ地下には叶わないけど、けっこういろんなものが売ってる・・・」

コンビニでは見かけないようなお惣菜や、お弁当を買ってみることにした。

「結局何を買っても、過食して吐いてしまうんだから、同じような気もするけど・・・」

それでも、なるだけ(今食べたいもの)を選ぶように心掛けた。その積み重ねが、何かに繋がるのかもしれない。いや、何かに繋がってほしかった

「スーパーだと、意外とたくさん買っても不自然じゃないかも」

両手いっぱいにレジ袋を提げて、店を後にした。

先生の言葉が、頭の中で繰り返し繰り返し響いていた。

(自分と向き合い、自分のことを見つめ直し、決して諦めることなく、開き直るでもなく、今出来ることを一つづつ積み重ねる)

(残念ながら、(いつ良くなるのか)という時期のお約束や見通しをお話することは出来ませんが、私はあなたは必ず良くなる、と信じています)

(諦めることなく克服に向かう姿勢を持ち続けること、これこそが唯一の克服の方法、手段と言っても過言ではありません)・・・

どれも抽象的で、具体的なアドバイスとは言えなかった。実際、摂食障害は有効な治療法が未だ確立されていない、難病に指定されるような、非常に難しい病気、ということだから、仕方がないのかもしれない。ただ、先の見通しも、(これ)といった確信めいたものもない中で、どういうスタンスで摂食障害と向き合っていけばいいのか、考えれば考えるほど訳がわからなくなってしまう。不安や、迷い、孤独との戦いのような日々に、気持ちが切れてしまいそうになるのを、必死に繋ぎ止めるのが精一杯だった。

「もう、今日は難しいことを考えるのはこれくらいにして、買ってきたものを食べよう・・・」


今日もありがとうございます。

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