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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~61


「私なんてさぁ、そのために今日朝から何も食べてないから、もうお腹ぺっこぺこ。3食分食べちゃうかも」
「美味しいものは、0カロリー!気にしない、気にしない。そのために、朝から何も食べてないんだから」
「これって、駅前のケーキ屋さん?私、あそこのスイーツ大好きなんだよね・・・」
「お姉ちゃんも、さすがに甘い物は別腹だね~ここのケーキ屋さんは、何食べてもハズレがないもんね!」
「お母さん、クッキーって、一人何個食べていいの~」

家に帰っても、繰り返し由希の言葉を思い出していた。食べたら太る、なんてことはこれっぽちも考えていないような、天真爛漫さ。美味しいものは、何も気にせずとにかく食べる。食べたければ、気が済むまで食べたいだけ食べる。だけど、お腹いっぱいになったら、食べることをやめる・・・

「私だって、本当はお母さんの料理をお腹いっぱい食べたかった。コンビニ弁当やお惣菜なんて、もう食べたくなかった。クッキーだって、食べたかった・・・」

それでも、久しぶりに、ケーキをワンカットだけ、しかも吐かずに食べることが出来た。何かとても、とっても美味しいケーキだった。ケーキの甘さや、なめらかなクリームのコクを、久しぶりに味わうことが出来た。

「でも由希だって、痩せたいとは思ってなくても、太りたい、太っても構わないとは思ってないはず。だけど、あんなにたくさん食べても平気だし、美味しそうに食べてたし、食べることが楽しそうで、嬉しそうで、何と言っても幸せそうだった・・・」

私に比べたら、由希の方が活動的で、アウトドアとかスポーツとかしてるから、多少食べ過ぎたって太らないかもしれない。でも、あの日の豪快な食べっぷりは、基礎代謝とか、カロリーとか、そんなことをいちいち考えながら、計算して食べてるとは思えなかった。

食べることって、本来考えることでもないし、計算することでもないはず。本当は、ただ美味しいものを美味しいと感じて、みんなで楽しんで、それが嬉しくて、そしてとっても幸せなこと、のはず。私も、いつかそう感じながら、みんなと一緒に食べることが出来るかな・・・」

この前は、久々に由希が実家に帰ってきて、家族4人で食事をした。妹の由希が、私に食べ方を教えるために、私がどこかに置き忘れてしまった、食事の楽しみ方、食べる幸せを取り戻させるために、帰ってきてくれたような気がした。


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