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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~「痩せたい」と「食べたい」のその先へ~219


とりあえず、買ってきたものを冷蔵庫に入れてシャワーを浴びることにした。

髪をタオルで拭きながら、部屋の窓を開けてみる。ほんの少し生暖かい風が、頬を掠めていく。名前はわからないけれど秋の虫の鳴き声が微かに聞こえてきた。

「やっぱりもう、季節は秋なんだよね。何だか時が過ぎるのが年々早くなっているような気がする」

冷蔵庫からハイボールを取り出して、プルタブを引き上げた。

「乾杯!」

誰もいないけれど、缶を目線よりも少し高い位置に上げてから一口飲んだ。

「あぁ~やっぱり仕事が終わった後の一杯って最高においしい」

大袈裟かもしれないけれど、この時ばかりは『生きてて良かった』と思える。

もう一口飲んでから、ドライヤーで髪を乾かした。

冷蔵庫からサラダチキンとひじきの煮物を取り出した。以前、おばんざいのお店に行ってからというもの、和食のお惣菜を何となく食べるようになっていた。食べられる時には、なるべく身体に良さそうなものを食べたい……そんな思いもあった。

「出来る時に、出来る事を、出来る範囲でやればいいんだから」

そう自分に言い聞かせた。


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