摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~261
結局、これからの予定なんかそっちのけであれこれと考え事をしてしまった。これからどうするか何も決まっていないけれど、飲むものもなくなったことだし、とりあえずこのお店は出ることにした。
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「これからどうしようかなぁ。何か、このビルには私の『居場所』はもう、なさそうだから、少し歩いてみようかな」
外へ出ると、真夏の日差しが容赦なく肌に刺さってくるようだった。お昼近くになって、その日差しはさらに強くなってきている。
「氷は、今居る場所、与えられた環境の中で、解けようが、角が取れようが、水になろうが、文句の一つも言わずに自分の役割を全うしている。もちろん、氷に『意思』がある訳ではないけれど、私も今居る場所、与えられた環境の中で、私の役割とか、使命とか、やるべきこと、やりたいことを目指すべきなのかもしれない」
それにしても暑い。フラフラになってしまう前に、地下街にでも逃げ込むことにした。
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ここの地下街は、やたらと飲食店が多かった。そろそろお昼の時間だから、どのお店もそこそこ人が入っていた。
「私も、お腹が空き過ぎる前に、何か食べた方がいいかもしれないな」
当たり前と言えば当たり前だけど、おいしそうなメニューだったり、雰囲気が何となくおしゃれだったりするお店は、すでに席が埋まりつつあった。私は、どうしても混雑しているお店は避けたかったので、メニューや雰囲気よりも『空いているか』基準でお店を選ぶことにした。
「はぁ~、食べ物以外の買い物でもしようと思っていたけど、さっきから飲食店にしか来ていないなんて。結局私は『食べること」からは逃れられないのかもしれないな」
そうは言っても、もう席にも案内されてしまったのだから、何を頼むか決めなくては。
メニューを開いてみると、和定食が並んでいた。
「へぇ~『空いているか』しか気にしていなかったから気が付かなかったけれど、ここ和食屋さんなんだ」
一度気にし出すと、それしか見えなくなることはわかっていたけれど、何系のお店なのかも目に入らないなんて、自分の『集中力』に呆れてしまう。
「たまには、身体に良さそうな、栄養バランスの取れたものを食べるのも、悪くないかもしれない。それに、和食ならカロリーも低めなはずだし。今日は、お昼はしっかり食べてみようかな」
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