見出し画像

摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~132


目の前には、心が洗われるような真っ白な砂浜と、真っ直ぐな水平線、そして突き抜けるような青い海と空が広がっていた。おばあちゃんの答えの代わりに、波の音が耳に響いていた。

「おばあちゃんだったら、何て言ってくれるかなぁ・・・」

(紗希ちゃん、そんな難しいこと考えたって、疲れちゃうだけだよ。出来ない時は出来んし、出来る時は出来る。世の中の流れに逆らっちゃ、いけないよ。時間が経てば、きっと出来るようになるから。それよりほら、美味しいもんたくさん食べて、力つけないと。治るもんも治らんよ。心配せんでも、小さい頃から紗希ちゃんは何でも出来たんだから、ちょっと考え過ぎて、疲れちゃってお休みしとるだけなんよ。またいつでも話においで、おばあちゃん、いつでも待っとるからね・・・)

自分で想像したくせに、何だか涙が溢れてきた。おばあちゃんなら、きっとそんなことを言ってくれるはず・・・いや、今の私がおばあちゃんに言って欲しかったこと、だったのかもしれない・・・

(ほら、さっき買ったお菓子でも食べて。甘いもんは心の栄養だからね、悩んでる時には、ぴったりだよ~)

「そうだね、甘い物は心の栄養だよね。悩んでる時にはお菓子をつまんで気分転換だよね。今日はね、おばあちゃんと一緒に食べたくて、大福もどら焼きも買ったんだ」

おばあちゃんなら、目を細めて、ただニコニコして美味しそうに一緒に食べてくれるはず・・・なのに、どうして普段の私は、心の栄養も、身体の栄養も、拒み続けているのだろう・・・虚しくて、生きる意味も見つけられなくて、空っぽの心にさえ、栄養を与えることを許さないでいる。痩せて、干からびて、仕事に行くのが精一杯の、元気の欠片もない身体にさえ、栄養を与えることを許さないでいる。栄養を与えるふりをして、食べたいだけ食べて、結局は全て吐き出して、心の栄養も、身体の栄養も、拒み続けている。きっとおばあちゃんは、そんな私に喜んで、目を細めて、ただニコニコして、500円分のお菓子を買ってはくれないだろう・・・

「おばあちゃん、お菓子も食事も、美味しいね、美味しいねって、これ食べると元気が出るねって、みんなで一緒に食べると楽しいねって、そうやって食べるものだよね、そうやって食べたいよね。脇目もふらず買い物して、食べるというよりただひたすら詰め込んで、吐き出すなんて、美味しくもないし、楽しくもないし、心の栄養にもならないよね・・・わかってる、そんなこと言われなくてもわかってる、わかってるんだけど、今の私には出来ないんだよね・・・おばあちゃん、私どうしたらいいのかなぁ・・・」


今日もありがとうございます。


この記事が参加している募集

よろしければサポートお願いいたします。いただいたサポートは、今後、摂食障害で悩む方々のサポート活動に、大切に使わせていただきます。