見出し画像

摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~342


人は、人生の転機となるようなことを経験すると、何か吹っ切れたように自分の中に『心の拠り所』となるような考えが出来たりすることがある。私も、摂食障害という『人生の転機』を経験しているのだから、いつかは吹っ切れるようになるのだろうか。

それから陽子は、私に『もっと自信を持ってもいい』とか『出来ることもたくさんある』と言ってくれた。

「そんな、お礼を言われるようなことは全然してないと思うけど……確かに私は紗希と一緒にここに居て、一緒に食べて、一緒に話をした。だけど、紗希の言う『大切なこと』を思い出したり、何かに気付いたりしたのは紗希自身なんだよ。私は何もしてないよ。もっと自信を持ってもいいんじゃないかな」
私はね、紗希は自分が思ってるほど『出来ない』ってことはないんじゃないかな、って思ってるの。確かに、みんなが当たり前に出来ることが出来ないのかもしれないけど、それは病気なんだから仕方がない、っていうのもあると思うし、それに、多分出来ないことばっかり気にしてるからそう感じるだけなんじゃないかな。今だって、私と同じパフェを食べることが出来たんだし、今の紗希にも出来ることってもっともっとたくさんあると思うんだよね」
「そうやって『普通に食べる』ために、何か出来ないかなって、紗希は意識してないかもしれないけど、出来ることを考えてやってるんだと思う。だからね、そんなに悲観することないんじゃないかな」

落ち込んでいる私を見かねて、励ますためにポジティブな言葉をかけてくれたということも、もちろんあると思う。けれど、その時の陽子の様子からはただ思っていることを言ってくれた、という心の底からの『言葉』という感じがした。私は、今までと同じように今出来ることを一つ一つ積み重ねることで、ほんの少しずつでも自信を持ってもいいのかもしれない。摂食障害を克服するために、諦めないで出来ることを続けてきたのだから、そんなに悲観することもないのかもしれない。


今日もありがとうございます。



この記事が参加している募集

#私の作品紹介

95,294件

#眠れない夜に

68,772件

よろしければサポートお願いいたします。いただいたサポートは、今後、摂食障害で悩む方々のサポート活動に、大切に使わせていただきます。