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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~327


「お金?そうなんだ……そっか、もしかしてカウンセリング料とか、ってこと?」

「うん、まあそれもそうなんだけど。それよりも、買い物にすごくお金がかかるの」

「買い物かぁ……それって、食べ物を大量に買ったりするってこと?」

「うん、まあ……そういうこと」

立て続けに話していたからか、緊張していたのか、喉がカラカラになってしまった。アイスコーヒーを一気に飲み干して、一息ついた。

「そうなんだ……私もね、ネットで読んだりしただけだから、詳しく知ってる訳じゃ全然ないんだけどね。それで、食べ物を大量に買ったりって、それってもしかして『大量に食べて吐く』みたいなことなの?あっ、ゴメンね。何か一方的に聞いちゃってるけど、言いたくないことは言わなくてもいいからね」

「ううん、大丈夫。ありがとう、気を使ってくれて。でもね、今日陽子を誘ったのは私の話を聞いてもらったりしたら、少しは気が紛れるかも、っていうのもあったからその辺は気にしないで。もし本当に言いたくないことがあれば、私からそう言うね」

「そう?それならそういうことで。でもさ、私も摂食障害のことは『ネットの世界』みたいなとこがあるから、話し出すといろいろ聞いちゃうかも」

「それは別に大丈夫。私も、酷かった時に比べたら大分落ち着いてきたし。それにね、病気じゃない人の考えてることとか聞いてみるのも、何かの『きっかけ』になるかもしれないなぁ……とも思ってるんだよね」

陽子のグラスをさり気なく見ると、すっかりアイスコーヒーはなくなっていた。話もまだまだ続くだろうし、追加で何か頼んだ方が良さそうだ。

「陽子、何か頼もうか?私も全部飲んじゃったし、喋ってると喉が渇いちゃって」

「そうだね、何にしようか。私さぁ、ちょっとお腹減ってきちゃったんだけど、何か食べてもいい?」

「えっ、もちろん。それなら、私も何か食べようかな……」

陽子につられて咄嗟に言ってしまったけど、人前で何かを食べることにはまだまだ不安な気持ちがあった。だけど、もし陽子と一緒に何か食べることが出来たら、ほんの少しでも前へ進むことが出来るかもしれない。ここは、勇気を出して何か頼んでみようかな。


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