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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~190


これはあくまで私の考えですが、摂食障害は病気であり、摂食障害当事者は患者であるけれども、その克服の方法を知っているのは、そして克服のノウハウを持ち合わせているのは、他でもない自分自身なのです。摂食障害の治療者は自分自身なのです。摂食障害は、自分自身で克服することが出来るのです。ただし、偏ってしまった価値観や、行き過ぎた完璧主義や、頑なな拘りや、太ることや食べることへの恐怖心を解きほぐすためには、どうしても自分一人の力だけでは限界があります。そこで、人との繋がりやサポートが必要になるのです。そして、有益な情報に触れることも大切になってくるのです。摂食障害当事者は患者であり、同時に治療者でもあるのです。ですから、摂食障害は誰かが治してくれるのではなく、自分自身が治すものとか、本気で治そうと思った時から治り始めている、などと言われているのです。

「先生、摂食障害当事者は患者であり、同時に治療者でもある……ですか。私は、過食嘔吐をやめたくて、過食嘔吐を繰り返してしまうことが辛くて、苦しくて、どうにかしてやめたいと思っているのですけど、なかなか自分一人の力ではやめられなくて、それで悩んでいるのに、摂食障害の治療者は自分自身なのですか……何だか、良くわからない部分がありますし、実際自分一人の力では治せない気がするのですけど、どういう意味なのですか?」

そうですね、ちょっと極端な言い方だったかもしれませんね。私が言いたかったことは、つまりこういうことです。これも、あくまで私の考えですが、生まれつき痩せたい、吐いてでも痩せたい、あるいは食べることが怖い、食べると無限に太るのではないか、などと思っている人はいないと思います。いや、いないのです。つまり、摂食障害は先天的な疾患ではなく、後天的に学習した価値観や嗜癖行動によって患う精神疾患なのです。ですから、ごく単純に言うと、摂食障害になってしまった後の学習や嗜癖行動の見直しによって、回復、克服する可能性が十分にあるのです。ただし、ご存知のように、いやご経験されたように、一度『痩せたい』や『食べたい』に囚われてしまうと、完璧主義的な性格も相まって、そこから抜け出すのは非常に困難になってしまいます。なぜ困難なのかというと、それは自分自身が追い求めている価値観や完璧主義的な思考回路が、なかなか他者の介入を許さないレベルにまで硬直、凝り固まってしまっているからです……これはつまり、周りからの、常識的と思われるアドバイスなどが心に響かない状態に陥っている、と言えるかもしれません。


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