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K-pop・Tiktok vs Trumpの衝撃


ようこそ。

K-popとTikTokがアメリカの大統領を倒しに行く。

コロナウイルスで今まで後ろ盾だった経済が底をつき、世界最悪の「感染
大国」になってしまったアメリカの大将、トランプ大統領。

オバマケアの廃止からスタートした彼にとって医療の欠陥は蹴られると痛いスネの部分でした。しかしあっけなく突かれ満身創痍のリーダーはいまや「PCR検査を広げたからこうなったんだ」と云うトンデモロジックで壮大な開き直りをしています(オクラホマでの演説で本当にそう言っています)。


ここまでくるとさて次はどんな戦法で戦うのかと楽しみになるんですが、当事者の市民にとってはイヤイヤ無理ゲーの切羽詰まった問題です。

この渦中で、それもコロナで身動きが取れない中「もう許さん!!」と立ち上がったのは、トランプのおっちゃんの何倍もこれから人生が待っているいわゆる「Z世代(Geneartion Z, 1990年から2010年に生まれた世代を指す」)です。



なんと彼らは、

大統領の演説集会チケットを大量に予約し空席を作る

と云う、織田信長もビックリの(しかし極めて平和的でクールな)奇襲戦法に乗って出たのです。

きっかけは6月11日にMary Jo Lauppというアイオワ州の女性が投稿した、「みんなでトランプ演説会のチケットを予約して彼を一人ぼっちにしよう」というTikTokの投稿でした。


この投稿は瞬く間に拡散。6月20日の本番まで10日もなかったのですが、この投稿は瞬く間に70万以上の「いいね」と200万以上のviewを得ました(彼女はのちの”TikTok Grandma”と呼ばれます。まだ51歳なので”Madam”でいい気がしますがね・・・)。


SnapchatやInstagramでも拡散したこの運動について、彼女はこのようなことになるとは予想もしなかったとBBCのインタビューで語っています。

そしてこのムーヴメントの主軸が、実はK-popファンだったのです。

最近のK-popファンはビックリするくらい政治的な存在感を増しています。

例えば、黒人差別反対運動に対し#WhiteLivesMatterのハッシュタグをつける白人主義団体のSNS投稿に対抗するため、大量のK-popビデオをこのタグと一緒に流しまくりSNS界から追い出すなんて云う、とてもユニークなムーブメントを広げています。

(詳細→BBC: https://www.bbc.com/news/technology-52922035)


Dallas事件もあります。
これは、BlackLivesMatter運動を監視しようという動きを見せたDallasの警察に対抗し、警察の公式アプリに大量のK-pop動画等のコンテンツを送りまくりサーバーダウンさせたのです(いわゆる「炎上」です)。

さあ、ここにきてトランプです。


K-popファンは上記のno-show movementにいち早く反応し、一人で無料チケットを何百枚も予約したと云う10代の若者も出ました。

その結果は皆さんもご存知の通りです。以下のリンクでまさに「してやったり」の表情を見せるファンの姿をご覧になれます。↓

なぜK-popなのか??

僕が考える理由は以下です。


①アンチトランプが多い若者たちがいわゆる”fandom”(K-popファンのコミュニティー)で繋がっており、一つのネットワーク・団体の機能を果たした。 
もう一つは 

②前例のなかったK-waveを生で吸収してきた「K-popネイティブ」と”Z-Generation”が重なっており、K-popが「大人たちが経験できなかった」10・20代の象徴として昇華した。


アメリカでのK-pop旋風は今までの米国popカルチャーに類を見ない、いわば全くフェーズの異なる現象です。

故にその熱狂の只中にいることはすなわち若者の「自分たちだけの独占感」と「差異化」を生むわけです。これはインターネットツールにあたふたする団塊世代に対し若者が持つ上から目線な感覚と似ています。

BTSは米国で圧倒的な人気を持ちながら未だGrammy賞の主要部門に全くノミネートされていません。これは音楽自体が評価されていないからではなく、保守的な音楽審査員たちが「英語でもなく」「アメリカ生まれでもない」異次元の音楽旋風にまだ追いついていないことを如実に表しています。

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特に注目すべきは2018年ごろから旋風を巻き起こしたBTSおよびARMY(BTSファンの通称)の存在感です。

このARMY、熱狂ぶりが強烈なことで有名で、その事情を知らない人たちからしたら「ひえ〜」って引いちゃう、みたいな一面もちょくちょくあるのですが〈ここでマイクが切れる〉・・・・、

まあとにかく、その持ち前の団結力で存在感を増し、上記の#WhiteLivesMatter追放運動の主軸となりました(BBCのニュースでBTSの映像が多く出ていることからも伺えます)。
他にもARMYたちはBTSがBlackLivesMatter運動に関し100万ドルを寄付することを表明すると、#MatchAMillionと云うハッシュタグと共に同調するキャンペーンを開始し、わずか24時間で同じく100万ドルの寄附金を達成しました(いや本当に感嘆しかない・・・)。(source↓)


そしてTikTokもまたデジタルネイティブ世代の「コミュニティー」であり「所有物」であることで一気に価値を高めました(ただしこのBTSもTikTokも、国境を超えてほとんど「ありのまま」で受容され普及しています。TikTokが中国由来のアプリであることからアンチトランプの象徴であるという論説も見受けられますが、ほとんどの若者はもうそんなのは意識していないのではないでしょうか。)


コロナ渦中で図らずも一気に社会的な存在感を増したアジア始のK-popとTikTokという二大メディア、これらが世界を動かしていく日はもうきているのです。


参考記事 
"TikTok Teens and K-Pop Stans Say They Sank Trump Rally", NewYorkTimes. (published June 21, 2020). 閲覧日 2020年6月25日


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