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🇨🇦the University of Alberta 大学院の言語屋さん M.A. Applied Linguistics/ 日本語教育/🇺🇸学部留学/TOMODACHI Generation奨学生/韓国語と中国語勉強中 Twitter:@pls_giveme_visa

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シラバスにおける二つの「目標」:"Goals"と"Objectives"の違い

大学の授業で教師が学生に提示するシラバスでは、授業の目標として"Goals"と"Objectives"のふたつを峻別します。どちらも日本語に翻訳すると「目標」になってしまうのですが、どう異なるのでしょうか。まとめると、 Goals = rather broadly based aims and purposes in an educational context, and are therefore more appropriately associated with wh

    • 「コミュニカティブ・アプローチ」とは?

      最近まことしやかに教育界や参考書等で「これからはコミュニケーションだ!」が叫ばれていますが、そもそも教授法におけるコミュニケーションとは何なのでしょうか。これは決して目新しいことではなく、そもそもは 「人間にはコンピューターのような言語装置が生来備わっている」 とするChomskyの “Syntactic Structures”(1957)への批判を発端とします。     90歳を超えてなお現役で教鞭をとっているチョムスキー氏・・・。 "Communicative L

      • 教授法における「アプローチ」と「メソッド」の違いについて

        言語の教授方法において「アプローチ」と「メソッド」の違いを一言でまとめると、 「アプローチ」=理論、信念、基本的考え 「メソッド」=「アプローチ」の具体的な実践方法、教授方法 と言えます。 Brown and Lee (2015)にはこう書かれています。 Approach= Theoretical positions and beliefs about teaching, language, language learning, learners, institut

        • 外国語における「ボキャブラリー」とは

          今回はボキャブラリーについての話です。  皆さんも、中学生の時英先生から単語帳を渡され無機質な単語を半ば強制的に覚えさせられたのではないでしょうか。そもそも外国語における「語彙力」とは何なのでしょうか? そして外国語の語彙を覚えていくことは子どもが第一言語を覚えるのとどう異なるのでしょうか? まず、一般に第一言語の獲得と物心がついてからの外国語とでは語彙をマスターする速さがまるで違います。1歳後半~3歳頃には「語彙爆発」と呼ばれる期間が一般に存在し、この時期子どもは10~

        シラバスにおける二つの「目標」:"Goals"と"Objectives"の違い

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        • 教授法における「アプローチ」と「メソッド」の違いについて

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          「オリエンタリズム」が語るアジア人としての存在

          今回からしばらく、僕が今学期カナダの大学で学んだトピックを一つずつ紹介していきます。今回は名著「オリエンタリズム」。 なぜ日本人は、いや、世界中の人は英語を勉強するのでしょうか。なぜ世界中の学術論文は無条件に英語で書かれるのでしょうか。なぜ世に出回る諸々の「世界ランキング」は、アメリカとヨーロッパで占められているのでしょうか。  (世界ランキングの一つ、Times Higher Education World University Rankings) サイー

          「オリエンタリズム」が語るアジア人としての存在

          MANZAIはなぜ面白いのか?

          M1の決勝戦がもうすぐですね。そこで言語学の一つである会話分析学の立場から、「MANZAIはなぜ面白いのか?」について解説していきます。   まず、会話分析では漫才の基本である「ボケ」-「ツッコミ」は “Incongruity”-“Resolution” であるとされ、その歴史は1930年代まで遡るそうです。 人間の会話は基本的に”Adjacency pair”、つまりある集団で決まっている形式の応答で成り立っているとされています。例としては、 ”あいさつ-あいさつ"(

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          K-pop・Tiktok vs Trumpの衝撃

          ようこそ。 K-popとTikTokがアメリカの大統領を倒しに行く。 コロナウイルスで今まで後ろ盾だった経済が底をつき、世界最悪の「感染 大国」になってしまったアメリカの大将、トランプ大統領。 オバマケアの廃止からスタートした彼にとって医療の欠陥は蹴られると痛いスネの部分でした。しかしあっけなく突かれ満身創痍のリーダーはいまや「PCR検査を広げたからこうなったんだ」と云うトンデモロジックで壮大な開き直りをしています(オクラホマでの演説で本当にそう言っています)。 ここ

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          ことばと「差別」について

          ようこそ。 BlackLivesMatterが社会を動かしています。 ・白人の参加者が多数であること ・明確なヒーロー=主催者が不在であること ・インスタやTwitterをはじめとしたメディアに呼び掛けられ全州に隈なく発生していること 等々、今回は前例のないムーブメントであるとは言うまでもない事実です。留学中の思い出の場所も破壊されていくのを画面越しに見る日々、自分の心に浮かんだのは一つ、 「歴史というフレームにおいて、日本人は圧倒的に差別『する』側であった。」 と

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