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時に人はモノに呼ばれる
恋の悩みや迷いを抱えたり、プレゼントに困った若い男女たちが、ふと見かけた小さなアンティークショップ。
気持ちのフォトスタンド、思い出を切るペーパーナイフ、天使、天秤などにまつわる物語。
これらの物に、時に考えさせられ、時にそっと背中を押され、それぞれが再び前を向いて歩いていく。
大人になったあなたにも読んでほしい連作掌編・短編集。
★ペーパーバック版
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自作詩・自作掌編『終冬』
自作詩『終冬』
桜鮮やかな春空
執念深い雪の舞
留まったのか飛び立ち損ねたのか
池に空を眺める白鳥が一羽
遠い仲間を思うのか
ここにいる自分への後悔か
白鳥は舞い降りる雪を眺めている
春風が吹き雪を散らす
白鳥は首を縦に振り鳴き出す
大きく翼を広げ水面を走り
春風に向かって飛び立つ
ただ一羽鳴く声は
ここにいる そこへ行く
白鳥の声に聞こえたその声は
私の声
もういちど一緒に。それだけ。
霞がかつた青空に、斑のような雲。
先週降り積もった雪はすつかり溶け、春のような陽気が三日続いています。林檎も木蓮もすつかり葉を落とし、木蓮の枝には白く短い毛に覆われた冬芽が出ていました。春に綺麗に咲いていた紫陽花は花も葉も枝も全てが焦茶色に染まつています。
黒のロングコートのポケットに入れてきた手袋は必要なさそうです。
車も自転車も歩行者も少く、時折見かけるだけ。自転車に乗ろうかと思いまし
あの夏の神社とおばあちゃん
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久しぶりに山の絵を描きたいと思ったのが、そもそものはじまりだった。
本業でないとはいえ、僕の絵を見て買ってくれる人がいたり、アイコンやサムネイルの依頼をしてくれる人がいるのは、正直に言って嬉しい。
おかげで会社の給料だけではギリギリだった生活が、今は少しは余裕を持って生活することができるようになった。
とはいえ、勤めとは違って収入は月によってまったく違うし、今年得た収入を、来年