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1 こんな夢を見た。 私はリュックサックを背負って、たまに行く神社にいた。これ…
まえがき-本編だけ読みたい方は飛ばして下さい 私は50歳をちょっと過ぎたおっさんだ。 …
カーテンを開けるとくもりガラスの向こうは灰色だった。 二重サッシの内側を開けると、窓…
自作詩『終冬』 桜鮮やかな春空 執念深い雪の舞 留まったのか飛び立ち損ねたのか…
霞がかつた青空に、斑のような雲。 先週降り積もった雪はすつかり溶け、春のような陽気が…
1 「おい、走馬灯って知ってるか」 高校時代からの友人が言った。 土曜日の夜の居…
雲ひとつない初夏の青空。これから来る夏への理由のない期待。時折そよぐ風。梅雨明けの土曜日の街は、多くの人がどこか嬉しそうな、浮かれていそうな表情をしている。たぶん他の誰かが私を見たら、同じような表情をしているのだろう。 出会いと男運に恵まれてこなかった私にも、ついにその時が来たんだとしか思えない。ほどよい距離感。1日に1人の時間が数時間でも必要。読書と音楽が好きで、しかも好きな作家も、歌手とバンドもほぼ同じ。 そんな人が今、私の隣を歩いている。 今まで付き合った人は、
はじめに この物語はstand.fmで配信していらっしゃる漫画家の緒方しろさんの収録『雨の図書館…
今日で17歳が終わる。 そんな事を考えながら、教科書から目を上げ、なんとなく窓の外を見…
アクリル板で仕切られた4人がけのボックス席に僕たちは座った。 僕の隣にリンが、僕の向か…
1 久しぶりに山の絵を描きたいと思ったのが、そもそものはじまりだった。 本業で…
※ひとつ前の記事に前編があります 5 男性が差してくれる傘の中に入るのは何年ぶ…
1 無数のカエルの鳴き声に包まれ、星ひとつ見えない曇天の下を、私は歩いていまし…
「はい、これ」 高校の帰り道、校門を出てすぐに、カスミはそう言いながら一冊の文庫本を僕に差し伸べた。二日前に貸したシリーズものの恋愛小説だ。 恋愛小説というより、青春小説といったほうがいいかもしれない。 高校生の主人公が学年がひとつ上の静かで落ち着いた先輩を好きになり、どうにかして接点を持とうとしてあれやこれやと試行錯誤して、失敗しながらも、先輩と近づいていく。 帰宅部でゲームばかりやっていたのが、先輩と話せるかもしれないと文芸部に入部して、それまでたまに思い出したよ