坊ちゃん

何年か前に脱サラしてトマト農家になりました。 そんな僕がトマト農家になるまでの話をまと…

坊ちゃん

何年か前に脱サラしてトマト農家になりました。 そんな僕がトマト農家になるまでの話をまとめてみようと思いますので、良かったら読んでみて下さい。

マガジン

  • ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー

    SF小説を作るゾ

  • ノルウェイの海

    長々と書いている、僕がトマト農家になるまでのお話です。

最近の記事

  • 固定された記事

浪人生の時、勉強が嫌になって自転車旅に出た話

 これは僕が浪人生の時、勉強に嫌気がさして九州一周の自転車旅に出た時の話です。  同じく浪人生の友人と二人、夏期講習をサボって行った20日程の夏休みは、つまらない浪人生活の中で唯一輝いていた思い出です。  高校三年生の冬、現役での大学受験に全落ちした僕は晴れて浪人生の身となり、春からは近くの街の予備校に通うことになりました。  予備校の初日、やけっぱちになって入った東大クラスの教室に入り自分の席につくと、隣の席に座る男がひらひらっと手をふって、「やあ。」と声をかけてきまし

    • ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 16

      16、反動  スーパーへの就職が決まった僕は、もうこのまま過去をやり直して大学生に戻らなくてもいいかなと思うくらい充実した日々を過ごしていましたが、そんな時間は長くは続かず、急転直下の話が飛び込んできました。  ある日、直樹の家にヤクザ者っぽい人達が押しかけて来て「借金返せ!」と言って騒動になったそうなのです。  僕は現場には居合わせなくて、直樹から伝え聞いたことなのですが、どうやら由紀ちゃんがギャンブルとかホストクラブにハマってしまっていて、消費者金融に数百万円の借金が

      • ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 15

        15、焼き肉パーティー  脱引きこもりを果たし、スーパーの野菜部門で働き始めてから一年がたとうかという頃、仕事を終えて帰ろうとしているところをクマさんに呼び止められました。 「社長が呼んでたから、帰りに事務所の方に寄ってみて。」  僕と直樹が事務所に行ってみると、社長と店長が机にお惣菜やパンなどを広げてモグモグと試食をしながらあーだこーだと話し合っていました。  「失礼します。」と言って僕らが入って行くと、「お、来たね。」と言って社長が顔をあげました。  「今日は君たち

        • ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 14

          14、社会復帰  スーパーの野菜部門で働くことになった僕と直樹は、朝のトレーニングを終えると毎日7時から12時まで野菜を袋に詰めて店頭に並べたり、古くなった野菜を片付けたりと忙しく働いていました。  青果担当の社員は大隈さんという元ヤクザで、頭をツルツルに剃り上げて金のネックレスをつけているイカついオヤジで、ほんとにヤクザを辞めてるのかと疑問になるような風体でしたが、意外にも丁寧に仕事を教えてくれました。あと左手の小指がありませんでした。  周りからはクマさんクマさんと呼ば

        • 固定された記事

        浪人生の時、勉強が嫌になって自転車旅に出た話

        マガジン

        • ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー
          16本
        • ノルウェイの海
          22本

        記事

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 13

          13、脱ニート  父親による鬼しごきが始まり、毎朝4時に叩き起こされるようになった僕たちは1時間のランニングをした後は、腹筋背筋腕立て伏せスクワットなどの筋トレのメニューを課されるようになりました。  8年も引きこもり生活をしていたため、僕も直樹も体力はほぼゼロで、走り出して数分で息があがって足がもつれていましたが、後ろから父親に引っ叩かれ叱咤されて足を止めることは許されず、どうにかこうにか初日のメニューをこなした後には公園の地面の上にヘタリこんで一歩も動けなくなってしまい

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 13

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 12

          12、愛の引きこもり脱出大作戦  引きこもりになって以降、朝も夜もない生活で、前の日も明け方までネットゲームをやっていたので、目が覚めたのは昼過ぎになっていました。  今日も早くログインして、クエストを進めないと他のプレイヤーに遅れをとってしまうんだったと思い出してパソコンのスイッチを入れました。  そして一通りのタスクをこなすとグゥと腹がなったので、そうだ飯がまだだったと部屋の扉を開けると、扉の前に朝飯を乗せたお盆が用意されていました。一緒にご飯を食べることもなくなって

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 12

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー11

          11、引きこもり大作戦  夢の中で目を覚ました僕の意識は、中学2年生の夏休みに戻っていました。  ベッドから起き上がって机の上の日記を見ると、 「直樹を暴走族に入れるな!」 と書き込みがありました。  久しぶりの日記の幽霊からの指令に夢の中の僕は首をかしげ、それよりもと部活のバスケ部の練習に行く準備をバタバタとはじめました。  夏休みの間は、日曜日以外は午前中は毎日練習の予定になっていて、夏の大会で3年生が引退して僕たちの代になったということもあって気合いが入っていまし

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー11

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 10

          10、改変  父親の話によると、由紀ちゃんに会いに行った夜、僕が眠った後に由紀ちゃんは僕の頭を花瓶で殴りつけ包丁で腹部をメッタ刺しにし、出血多量で僕は死んでしまったのだと言いました。  「え、死んだ?」と僕は自分のお腹をさすってみると包帯のようなものがぐるぐるに巻かれていて、ズキリと重い痛みがしました。 「最初はな。だから俺が止めに入った。」 父親はそう言って日記帳を取り出して見せました。 「俺は日記を使って過去にメッセージを送ることができる。たぶん、お前にもできる。

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 10

          トマト日誌 2024年7月5日

           激アツ  昨日は気温が35℃を超えたみたいで久しぶりにクラクラする季節がやってきたなと、テンションがバク上がりしています。  しかし、トマトにとっては暑すぎるので日除けのカーテンを設置しました。  トマトにとっての適温は15℃〜25℃で、だいたい人間の感覚と同じ感じです。  それが35℃を超えると、花が咲いても実がつかない「花落ち」という現象が起きてしまいます。樹が弱ってしまい、自分を守るために負担のかかる「実をならす」という作業をストップしてしまうのです。  7、8

          トマト日誌 2024年7月5日

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 9

          9、由紀ちゃん  夢の中で目を覚ました僕は、東京の大学近くに借りたアパートの一室で布団にくるまっていました。  10月になって朝晩はめっきり冷えるようになっていましたが、暑がりの僕はTシャツに短パン姿でペナペナの布団をお腹にかけていただけでした。  起き出して、机の上に置いてあるスケジュール帳を見た僕は、前日に書いたページにメッセージが書き込まれているのを見つけました。 「由紀ちゃんに会いに行け。恋人の車に乗せるな!」  数年ぶりに書き込まれた日記の幽霊からのメッセージ

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 9

          トマト日誌 2024年7月2日

          晴れ 7月植えのトマト苗1600株が育ってきました。 あと2週間もすれば植え頃になります。 これを植える畑の方は全く準備ができてなくて、これからトラクターで耕して畝を作ってマルチをかぶせて支柱を立ててと大急ぎでしなくてはいけません。 来週からはまたずっと雨予報なので今週中にはどげんかせんといかん。 「忙中閑あり」とは言いますが、トマト農家をはじめてからというもの、忙中に大忙ありといった感じです。  4月に植えたトマトは絶賛収穫中で、そちらにも追われていますので、トマト

          トマト日誌 2024年7月2日

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 8

          8、思い出巡りツアー  日記を利用して大金持ちになる計画は失敗してしまいましたが、僕はその後も懲りずに過去にメッセージを送り続けていました。  そうしていくつか分かったことがありました。  一つ目は、同じ日にメッセージを送る事が出来るのは一度きりだということで、その後はメッセージを書き込んでも過去の僕には届けることはできませんでした。  二つ目は、未来の情報を送ることはできない、ということでした。宝くじの当選番号もそうですし、未来に起こる出来事は「天気予報が外れて雨が降る」

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 8

          トマト日誌 2024年6月23日

          雨にて候 寒い  週間天気を見るにたぶん僕の住む地域もそろそろ梅雨入りしたのではないかと思います。  肌寒い朝です。  雨の日曜日。  今日はどうに過ごそうか。  やるべきことはたくさんあるのですが、雨の日は何だかエンジンがかかりづらい。  前に撒いたトマトの種は、本葉がでてきてちょっぴり大きくなりました。  今週中にはポットに移す準備をしなくては。  しかし雨というのはいやですねえ。  今年はエルニーニョが終息して、夏が激アツになる予報が出ていますが、逆張り思考

          トマト日誌 2024年6月23日

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 7

          7、書き換わった過去  机の上から消えたゲームソフトに、「あれ?昨日机の上に置いたよな」と独りごちて、どこかに落としたかと部屋の中を探しましたがどこにもありません。  「おかしいなあ。」と僕はまたベッドに寝転がって日記をパラパラと見ていました。  そして、「早くゲーム返せよアホ。」とコメントした次の日の日記をめくると、 「日記の幽霊の指令通り、浩史にゲームを返した。朝、直樹と由紀ちゃんが迎えに来た時、急に涙が出てきて恥ずかしかった。」 と書かれていました。  僕が夢の中

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 7

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 6

          6、夢の中へ  夢の中で目を覚ました僕は小学校6年生の頃に戻っていました。  夢の中での僕は、自分の意思で動いたり喋ったりすることは出来ず、ただ当時の僕が行動するのを後ろから追体験することしかできませんでしたが、その時考えていた事、思いや感情、肌を触れる風の温度や匂いを共有していました。  日記の幽霊からの指示通り、浩史から借りたゲームをランドセルの底にしまい、台所で今より8年分若い両親と朝食を食べ、父親と並んでNHKの朝のニュースを見ていると、玄関の呼び鈴がなって「おー

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 6

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 5

          5、日記の中  小学校を卒業し中学生になった僕たちでしたが、直樹や由紀ちゃんとの距離は縮まることなくむしろどんどん開いていき、やがて学校ですれ違ってもお互いに目もあわせないようになってしまっていました。  僕はそんなことを頭から振り払うように部活のバスケに熱中していましたが、直樹や由紀ちゃんは学校の不良達の仲間に入って校舎裏でタバコを吸っていたり、夜な夜なバイクを乗り回したりしていました。  直樹の家は、父親が警察を辞職してからといあものお酒に溺れるようになり、深酒して暴れ

          ワンス・アポン・ア・タイムinダイアリー 5