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カンボジアでの忘れられないレストランの記録

シェムリアップと言えば、アンコールワットに代表される遺跡がなんといっても有名だが、今回は素晴らしいレストランのことを記録したいと思う。
日中の気怠い暑さによる汗をシャワーで流して、少しだけドレスアップして出かけるディナーは、バカンスの醍醐味だ。
昼間、購入したカンボジアの土から作った陶器のピアスを日本から持ってきたワンピースに合わせて、予約しておいたカンボディアンキュイジーヌのお店に向かう。

シェフは、この土地の食材にとにかくこだわり、今手に入る一番美味しいものを使ってメニューを組み立てている。
アラカルトのメニューはなく、通常のコースとベジタリアンのコースの二つ。
ホームページには、「苦手なものやアレルギーは事前に伝えて欲しい、ただし、ガーリックとチリはカンボジアの料理には不可欠で、この食材を避けることは難しい」と明快な案内がある。また、魚や魚醤も多く使われるので、苦手なら、ベジタリアンコースを薦めるとも記載があった。
シェムリアップにほど近いトンレサップ湖は、世界最大の淡水魚の漁獲高を誇る。カンボジアの人々は魚をよく食べると言うが、街中の観光レストランは、魚のメニューがとても少ない。
このことからも、レストランが如何にカンボジアの文化を踏襲しているかがわかる。

9月のコースメニュー

レストランは、エアコン付きのモダンダイニングと、ファンだけのナチュラルなフロアと、アウトサイドの3つのエリアがある。私たちは、エアコン付きのフロアの窓際に案内された。

エアコン付きのフロアの雰囲気

スタッフはとても美しい英語を話し、キビキビしている。魚が多いコースなので、ワインはリースリングを選び、コースのスタート。スターターは、ココナッツとチキンとマッシュポテトのサラダ。ピーナッツの食感もよく、すっきりしたホーリーバジルの香りが食欲をそそる

スターター

2品目は、フロッグレッグ。タマリンドソースとナスと合わせて頂く。フロッグはさっぱりとした柔らかい鶏肉のようでとても美味しい。

フロッグレッグ

3品目は、お魚のソテー。chhlang fishとのことだったが、日本語訳は不明。皮はパリッと、身はふんわり。ココナッツのスパイシーなソースと、ココナッツの身と幹と一緒に。ココナッツの幹は初めて食べたけれど筍のような食感。ココナッツは、割ればジュースが入っているし、お砂糖もミルクもとれて、幹も食べられるなんてなんて恵みの多い植物だろう。ココナッツがたくさん生えている南国は改めて豊かだと思う。

ココナッツと頂くお魚

4品目は豚肉の笹の包み焼き。チャイニーズスタイルと説明された。バナナの葉ではなく笹を使っているところが、チャイニーズなのかもしれない。ココナッツの甘味がほどよく豚の角煮のような味わいだが、グリーンペッパーの爽やかさが効いている。ごはんの一緒にサーブされたのも納得の味だ。

ごはんに合う味

どうでも良いがこの時にサーブされたのナイフがなんだか物騒な包丁でちょっと怖かった。良く切れたけれど、それもまた怖い。

迫力あるナイフ。というより包丁。

5品目はトンレサップ湖のお魚を使った一品。ファマーズスタイルという酸味のあるスープにバナナとJava feroniellaという柑橘系の果物のソースと混ぜて頂く。スープに魚を発酵させた調味料が効いていたように感じた。アジアは発酵文化であり、それがいかに食事を美味しくしているのかを実感した。

お魚をスープで頂く。

6品目のメインディッシュは、メコン川の手長海老のグリル。海老のワタを使ったクリーミーなソースでぷりぷりの海老を頂く。添えられているアンコールワイルドマッシュルームはまこもだけのような味で、さっぱりした海老に深みを添える。揚げたクレソンも香り良く、一皿で違った味わいを楽しめる。

メインの手長海老

最後はデザート2品。タピオカとココナッツのムースと、ココナッツジェラードと北海スタイルチーズケーキ。タピオカのクリーミーなムースの組み合わせは白玉とあんこと生クリームのカンボジア版のような雰囲気でとても美味しかった。ココナッツジェラードにはお米のあられにココアパウダーを塗したものが添えられていて、良いアクセントになっていた。チーズケーキはパンダンで色付けされて、ココナッツソースが添えられており、北海道というよりアジアン全開だけどとても美味しかった。

タピオカとココナッツのムース
北海道スタイルチーズケーキとジェラード

最後の最後にフルーツの盛り合わせが登場。これがまた秀逸でスパイシーなお塩が添えられている。写真左側のグリーンの果物と若いグアバはどちらも酸味があり、この塩で頂くととても美味しい。こんなふうにに果物を食べたのは初めてでとても新鮮だった。

スパイシーなお塩と頂くフルーツ

大満足で外にでると、食事の間に降っていたスコールが上がっていた。天然の打ち水がもたらした涼しさを感じながらホテルまでのんびり歩いた。また、戻ってきたい場所が一つ増えた。

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