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ヴァイオリンの街が甘い香りに包まれる〜イタリア・クレモナのTorrone(トローネ)祭

ヴァイオリン製作で有名な、北イタリアの街クレモナ。毎年11月、この街の名物菓子「Torrone(トローネ)」のお祭りがあります。

1年前のちょうどこの時期に、私は仕事でクレモナを訪れていました。到着した日は静かだったクレモナですが、日に日にお祭りの準備が進んでいきます。

到着した日のクレモナ
数日後、お祭りの屋台を設営中
トローネ祭当日の朝

トローネ祭は1週間開催され、町中が甘い香りに包まれます。トローネとは、砂糖と蜂蜜とナッツが練り込まれたお菓子のこと。私は甘党なので、このお菓子が大大大〜好き。食べるのが止まらなくなるので危険です(笑)

トローネは、ヨーロッパ、中東、南アメリカなどでも名物です。例えばフランスでは「ヌガー」、スペインでは「トュロン」と読ばれ、それぞれの都市で少しずつテイストが違います。

このお菓子の歴史を紐解くと、とっても面白いのです。もとになったお菓子は、中東の「ハルヴァ」というお菓子だといわれていて、その後スペインに関係のある国々に広まりました。

柔らかいタイプや、固いタイプがあって、中のナッツの種類もさまざま。ひと口サイズや大きな板状になっているものもあります。固いタイプは、金槌で割って食べる必要がありますが、ナッツが香ばしくてとっても美味しいのです。

さて、私がこのお祭りで密かに楽しみにしていたこと。それは、トローネ君に会うことです。トローネ君とは、トローネの形をした着ぐるみです。クレモナの街について調べていた時に、観光局のInstagramで見かけました。トローネ君は、どうやら街中をウロチョロしているようなのですが、まったく見当たりません。とにかく人混みがすごくて…。「イタリア人って噂通り、本当にトローネが好きなんだな〜」と実感しました。

あ!民衆の中に、トローネ君を発見!

トローネ君は背が高いので目立つ

駆け寄って手を振ったら、笑顔で返してくれました。優しい♡

見よ、この輝く笑顔!
横から見るとすごく細い

ところで、トローネ君は何の形かわかりますか?
もちろんトローネの形なのですが (体の所々にナッツがあります)、彼がかぶっている帽子は、クレモナを象徴する教会の「鐘楼」の形なのです。

クレモナの鐘楼

1441年、ミラノ公フランチェスコ・スフォルツァと、ヴィスコンティ家のビアンカ・マリアの婚礼の際に、街の鐘塔をかたどったトローネが作られたそうです。トローネ君の背が高いのも、納得ですよね。

本屋のショーウィンドウには、トローネの歴史の本

トローネはクリスマスの頃食べるお菓子なので、プレゼントやパーティー用に購入する人がたくさんいました。それに合わせてなのか、クレモナの街には少し早めにクリスマスの飾りが置かれています。ひと足先にクリスマス気分を味わえたのも束の間、お祭りが終わったら、早々にクリスマスの飾りも一度撤去されていました。

お祭りには、屋台もたくさん。私はイタリア名物のトリッパ(モツの煮込み)と、トローネのリキュールをいただきました。どちらも美味しかった!

チョコレートのカップに入っている

普段は、ヴァイオリン一色のクレモナです。この街のひと味違った雰囲気をみたい方におすすめの、ちょっとマニアックなお祭りでした♬

2023年は、11月11日から19日まで開催中です。


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