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#詩

ヴィオラ②

もう鳴かなくてもいいように 弦を緩めてあげる 外では春の嘘に騙された 釣鐘草が騒いでいて 傷口は すっかり隠れてしまったね ふわりと 髪が揺れて ヴィオラは眠る 古い音楽室の隅で

#116『己を知る』

ボイストレーニングなるものに初めて行った そこで僕は自分を知ることの大切さを学んだ 自分の骨格や声のタイプ 発声の癖 それを知って初めて本当の練習が始まる もしかしたら努力が報われないのは 自分を知らないことが原因なのかもしれない

れつ

きょうをいきたかったこどもたちが れつをなしてすすむ そえられたはなばなを いっぽんいっぽんてにとって まっくらなそらでさみしいと こえにならないこえでなくから ねんちょうのこどもが ねんしょうのこどものてをにぎる あっちへいってはいけないよ こわいおにがいっぱいいるよ おぎょうぎよくしていれば あしたはみつけてもらえるかな こどもたちのれつはまっすぐすすむ はじまりもおわりもないまま

【詩】トカゲ

無駄な詮索はおよしなさい 無知の思い込みは ただ増長する陽炎 逃げていく原理を知りなさい 殻の剥き方を覚えなさい 卵をいたわるような息づかい 恐い記憶を放し飼いして えぐられた胸 泣いても自分のせい 紺の空 規則的な秒針 降る不安 凛と曲がらない月光 祈るだけ 照らされたトカゲ

ふゆのはるのおわる

どこかが燃えているみたいだ。香りのしなくなった金木犀がコンクリートを鮮やかにして、私の冬の春がちる。人々が縮こまり震えていて、あなたのなかの熱にふれる。どこかで石油ストーブが燃える。あなたの心臓ももえる。手足がこおりつくみたいだとはいうものの、実際問題こおりついている。わたしの心はずいぶん先に走っていくのに身体だけいつも置き去りになるね。たぶん、きっとあの道の先でだれかが瞬きをする間にまた春がきて、きづけばピンク色の花びらがコンクリートを消し去って、私の春の冬がちる。子どもが

夜に考えてはいけないこと

「心細い」と「寂しい」の違いはなんだろう 「孤独」から「絶望」へのスペクトラムは どれほどの長さだろう 小さな喪失を積み重ねたら 大きな喪失になるのか 小さな喪失はフラッシュバックする 何度も何度も何度も 失われたのは 他者からの好意か 他者への善意か 喪失という名の自己嫌悪か (0017)

[短歌] 今日の短歌❀3❀

「手を握り返した力秘めたるや          想い想われ四季折々の」 「このままと本を開いて胸に起き         夢で逢えたらと願わくば」 「また明日手をふる君は逆光で        見えない顔に愛しさ増して」

『オルゴール』

ねじを巻けば歌い出す 四角い小箱のオルゴール 硝子のように澄んだ音色は 空中に優しくこだまして おとぎ話をささやいた 金平糖のように甘く美しい物語が オルゴールから流れ出す 夢心地で頬杖ついて わたしはその声に耳かたむける このまま続いてくれたらいいのに このままずっと続いてくれたらいいのに このまま、このまま… 2019.3.1 以前書いた詩を載せてみました。 いつのまにか書き始めていた詩。 この夏で4年になることに驚いています。 詩は私の心の

オルゴール

他の箱が奏でる音と調和するような音を そのとき私は奏でているのです 箱を開いて聞こえてくる音。 さあこのメロディー アップテンポで煌びやかに聞こえるでしょう 偶然近くで聞こえる波長にあうように音は出るので 違う箱の近くにいるときに聞こえた重低音 しっとりとしたハーモニーを奏でているのも 同じ箱だと、信じてもらえないかもしれないけど このオルゴールはいろんな音が出せるの でも、オルゴールはぜんまいが切れるともう音が出なくなっちゃうから そういう時は自分でそ

薄い月明かり

薄い月明かり 紙っぺらみたいなお月様 落書きの様な雲の形 奇抜な画家の 気まぐれな筆さばきから 生まれた街の片隅で 今宵も僕は寝られずに 寝返りゴロゴロ 心臓の鼓動は問題なし さりとて頭の中は わだかまりでいっぱい ぐるぐるしながら 堂々と空回り 結べばきっとロマンチック なんだろうけれどいかんせん 僕には想像力が足りず 夢の尻尾をそれでも 追いかけようとする僕を見て 月が笑っている 薄い唇を引き伸ばして 暗闇の向こうから 雲の合間から こちらを覗き見笑っている

使われなくなった音階 【掌編】

 宵の口。深いため息をついて、ひとりがけのソファに腰を下ろした。ついさっき部屋を出て行った弟の残像が過ぎり、声まで聴こえてくるようだった。 〈姉さんは分かっていない! なぜ自分の人生をそんなに粗末にするんだ?〉  弟の言う通りだ。何もかも分かっていないのは私の方。 「でもね」  独りごちた言葉が部屋の閑寂へと吸い込まれていった。“でも” のない人生とは、私には手の届かなかった人生だ。悔しい……でも……でも……。この接続詞を死ぬまで繰り返すのだろう。私は私を肯定してくれる人々

オルゴール

女々しい君は いつもオルゴールを撫でて 日がな働く素振りも見せず オルゴールを懐かしそうに ネジ巻いて 隣の部屋で聞こえよがしに僕は言う。 「オルゴールなんか、捨てちまえよ」 「本当の仕事をすれば」 僕らは顔も合わせない。 ほんとうはわかっている とっておきなよ。後生大事に… 一生、鍵のかかった宝箱に入れて 心の海の底に沈めて たまに取り出して掛けたらいい よい音がするだろう 君が育てた音だろう 木の温もりも、その香りも 君が実際にどうするのかは、僕は知らな

オルゴール

ネジが巻かれた 時間だけ 寂しくて 儚いメロディーが流れる 忘れたはずの あなたの幻影が ノクターンの旋律に乗って 現れる あなたがくれた オルゴールは 時々 音が止まる まるであの頃の 2人みたいだね 感情の行き違いで ケンカもしたし 泣いたりもした 私はまだ オルゴールが捨てられない もう 壊れているはずなのに 街中で ノクターンを聴くと 連動して あなたを思い出す たぶん これからもずっと あなたがくれた オルゴールは 時々 ティンと鳴る

メロディー

懐かしい曲が 街の中で聴こえる 歌手よりも 曲が好きだった君を思い出す 君があまりにも聴くから いつの間にか 私も覚えていたっけ あの時は 悲しい歌詞も 他人事だったのに 今では少し意味がわかるようになった 君の街でこの曲が聴こえてきたら 君は誰を思い出すのかな