オルゴール
女々しい君は
いつもオルゴールを撫でて
日がな働く素振りも見せず
オルゴールを懐かしそうに
ネジ巻いて
隣の部屋で聞こえよがしに僕は言う。
「オルゴールなんか、捨てちまえよ」
「本当の仕事をすれば」
僕らは顔も合わせない。
ほんとうはわかっている
とっておきなよ。後生大事に…
一生、鍵のかかった宝箱に入れて
心の海の底に沈めて
たまに取り出して掛けたらいい
よい音がするだろう
君が育てた音だろう
木の温もりも、その香りも
君が実際にどうするのかは、僕は知らないね。
もともと他人のことには関心がない性質だから
誰も彼も好きにしたらいいと思ってるさ。
さ、もう行くぞ。
この話はこれで終わり。
さあ、行くぞ
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