[エストニアの小説] 第6話 #3 ライ麦畑で最後の夜を(全17回・火金更新)
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「母さんの目が光った。あたしはネズミみたいに部屋の隅で、じっと黙っていた。心臓がドキドキいうのを聞いた。『じゃあ、あんたには真面目な計画があるのかい?』 母さんはつづけて訊いた。『あんたはバカにするためにここに来て、若い娘をからかってるんじゃないと?』『そのとおり』とあんた。『将来、そういうことが起きるかもしれない。そう思ってる』『本当に?』 母さんは収まらない。するとあんたはしぶしぶ、ちょっと照れながらこう言った。『そういう風になることは、あり得ることだ、そう