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[エストニアの小説] 幸せの2羽の青い鳥

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アウグス・ガイリの短編連作小説『トーマス・ニペルナーティ:悪魔の舌をもつ天使』の第6話です。主人公のニペルナーティが、ここでも騒動を巻き起こします。5月16日連載スタート、毎週火… もっと読む
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#小説

[エストニアの小説] 第6話 #16 惨敗(全16回・最終回)

もくじへ  ニペルナーティは素早く起き上がると、はしごを降りた。農夫はニペルナーティが家…

葉っぱの坑夫
11か月前
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[エストニアの小説] 第6話 #15 モールマーの提案(全16回・火金更新)

もくじへ  「ヤーク、ヤーク!」 カティは幸せいっぱいで大声をあげた。「こっちに来て、ハ…

葉っぱの坑夫
11か月前
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[エストニアの小説] 第6話 #14 決着(全16回・火金更新)

もくじへ  「いやちがう、カティ、話してなかっただけだ」 ニペルナーティは弁解するように…

葉っぱの坑夫
11か月前
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[エストニアの小説] 第6話 #13 カティは誰のもの?(全16回・火金更新)

もくじへ  「ああ、天の神さま」 カティが声をあげた。「あんたにどう説明したらいいのか。…

葉っぱの坑夫
11か月前
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[エストニアの小説] 第6話 #12 結婚話(全16回・火金更新)

もくじへ  ヤークは椅子の背にもたれ、むっつりと不機嫌そうな顔をした。自分の家族が敵でで…

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[エストニアの小説] 第6話 #11 カティとヤーク(全16回・火金更新)

もくじへ  カティは鳥のように家から飛び出していき、畑に向かった。着いたとき、息を切らせ…

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[エストニアの小説] 第6話 #9 救世主ニペルナーティ(全17回・火金更新)

もくじへ  「父さん、父さん」 家に入った息子が窓越しに声をあげた。「こっちに来て、困ったことになるよ! 雄牛をもっと怒らせるつもりか? 冗談ではすまない、やつにやられてしまうぞ。家に入って、父さん!」  息子の声には恐怖がみえた。ヤーンの妻のリースは、フェンスの杭の間で顔をゆがめ、農場主の一挙手一投足を燃えるような目で追った。本当のところは、夫のヤーンが恐がって、父親に警告しているのが不満だった。なんで邪魔するのよ? この人はいきり立つ家畜をどう扱うかくらいよく知ってる

[エストニアの小説] 第6話 #8 決闘(全17回・火金更新)

もくじへ  「そうだ」 息子のヤーンが答える。「その通りだ、一つの嘘もない」  「で、俺…

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[エストニアの小説] 第6話 #7 雄牛の値段(全17回・火金更新)

もくじへ  「でもわたしには靴さえないのよ」 カティが笑みを浮かべて言った。「どうして結…

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[エストニアの小説] 第6話 #6 ニペルナーティの叔父さん(全17回・火金更新)

もくじへ  ニペルナーティはカティの手をとり、家の中に連れていった。荷物とツィターは座っ…

[エストニアの小説] 第6話 #5 留守宅(全17回・火金更新)

もくじへ  息子のヤーンが妻と部屋にずっといるので、ハンゾーヤの主人は一人で祭りや市に行…

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[エストニアの小説] 第6話 #4 ハンゾーヤ農園(全17回・火金更新)

もくじへ  ニペルナーティの頭はくすぶり、燃え上がり、神経の1本1本がツィターの弦のよう…

[エストニアの小説] 第6話 #3 ライ麦畑で最後の夜を(全17回・火金更新)

もくじへ  「母さんの目が光った。あたしはネズミみたいに部屋の隅で、じっと黙っていた。心…

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[エストニアの小説] 第6話 #2 15頭の丸々した乳牛(全17回・火金更新)

もくじへ  カティが反論しようとすると、ニペルナーティは強く胸に抱きしめて、こう言った。「自分の目で見てごらん。空には青い切れ目が出てきている、あれは夜に向かう印、そして雲のない星の夜になる。いいかい、反対しないで、不満を言わないで。今日これ以上歩くのは酷いことだ、いくらわたしの農場がもう近くで、わたしの森が見えていてもね。もう一晩だ、旅の最後の夜になる、こうして外で眠るのは。ここで気持ちのいい寝場所をつくってあげよう。ライ麦の干し草の俵で君のベッドをつくる、わたしのコート