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出戻り小学生

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根っからの学校嫌いが大人になって、まさかの学校で働くことに…。 現場における謎と不思議、笑いと感動に溢れた日々の記録。 今でも、戻れるのなら戻りたい…。
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#男子

みっちゃん、カッコいい事件②

 卒業も迫った三学期。6年生の図書の時間は、卒業式練習を理由にカットされることが増えていった。休み時間に訪れる6年生の数も徐々に減り、みっちゃんの姿を見る機会も少なくなってしまった。
 元々ここには週二日しか訪れない。各学年一クラスなので、授業時間は各日3時間。あとは兼任の大規模校(週三日各6時間授業みっちり。放課後開館もあり、一日走り続けて片付けをしていたら終業時間を当たり前のように過ぎる)では

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みっちゃん、カッコいい事件①

 みっちゃんという男の子がいた。当時小学6年生。読書家で、休み時間にも度々図書室に訪れては、一人黙々と本を読んでいる。しかし決して内に籠るタイプではないようで、勉強も運動もちゃんと出来、クラスではリーダーシップを取っている。とはいえコメディ担当とは違う。主張している姿は見たことがなく、真面目で非常にクールなのだ。
 みっちゃんが笑った顔を見たことがないわけではないが、笑顔の印象は少ない。一人で黙々

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小学生の男の子

 保育業界で働いていたくらいだから、自分はそれなりに子ども好きだと思っている。働きながら、保育の大変さを実感すると共に、子育てしている保護者を尊敬したくらいだから、子どもという未成熟な人間が、唯単に可愛いだけの存在ではないことも知っている。それでも保育に欠ける子ども達を可愛いと信じていたし、自分が担任を受け持った子どもなどは特に、産んでもいないのに産んだ子のように愛おしかった。
 未就学児を対象と

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