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苦手なラーメン屋だってある

このたび、のぎさんにお誘いいただいて、「同じテーマで書く」のぎ企画、参加させていただきました!

のぎさんからDMをいただいて、「まつながさんと何か一緒に作りたい」と言っていただけたこと、本当に嬉しかったです。
えっ、わたしでいいの???って、500回くらい思った…

漠然と「何か一緒に作りたい」から、お互いに案を出して、まとめていく作業も
のぎさんの文章を読んで、そこから自分の世界を再確認して切り開く作業も、ほんとうにしあわせな時間でした。
なにより、のぎさんが「心の底から楽しかったです。書くことがまた好きになりました。」とおっしゃってくださったのが、いちばんのご褒美でした。うへへ。

今回のテーマは四季。

みんなの中に四季がある。
それぞれの景色と、匂いがある。

四季をテーマにしたとき、のぎさんは「エアコン不要の世界希望。」というタイトルで切り開き、わたしは「季節に後ろ髪引かれる女」として、記事を書いた。

もう、ぜんぜん違う。

のぎさんとわたしの季節の匂いは全然違うし、言葉から溢れる匂いも違う。
のぎさんの軽快な文章にはクスッと笑ってしまって、わたしはトンと背中を押された。

ぜんぜん違う、
それがおもしろい、ということを再確認する。



これは、バンドマンだったわたしの感覚なのだろうか。
みんな多かれ少なかれ、そんなふうに思っているのかわからない。

「愛されたい」と願う。
「好きだ」と言ってもらえると、嬉しい。

売れるためにバンドをやっていたときは、「好きな音」より「バンドの理念に沿った音」を出していた。
「好きなことだけをやる」と決めていたときの音楽活動も、「前の曲と似ないように」とか、「あの人がこんな曲聞きたいって言ってた」とか、なんかごちゃごちゃ考えていた。

お客さんを増やしたかったんだと思う。

ライブノルマ、ひとり1万円。
それは、わたしの日給かそれ以上のもので、
ライブの日は仕事を休んでマイナス1万円、そこからプラスで1万円払っていた。
月給からマイナス2万円。
2万円あれば、携帯代と電気代と、もしかしたらガス代も払えちゃう。

続けるために、お金が必要だった。
そしてそれは、「お客さんが必要」という答えに安易に結びついていた。
お客さんが払ってくれるチケット代は、2000円。

好かれなくては、と思っていた。
できるだけ多く、”みんな”に
そうして漠然と焦っていた。

ライブハウス勤めをしていたわたしは、「ここのスタッフにも給料を払ったうえ、この空間の家賃を捻出し続けなければならない」ということも、強く理解していた。
誰かがお金を払わなければ、場所って維持できない。
当然の仕組みだった。

わたしは焦っていた。ずっと。
愛されなければいけない。
ひとりでも多くの人に、という感覚は「みんなに」という言葉に成り代わり、麻痺していった。



これを「外食」に置き換えてみると、目線が変わる。

おうちでは決して作れないようなラーメンに、お金を払う。
ラーメンの種類は様々で、「ラーメンが好き」と言っても、「このお店の味はちょっと苦手…」と思うこともある。
わたしが「苦手」と思ってしまうのは、そのお店の味に何かしらの「個性がある」ということで、その個性を「好きと思う人もいれば、苦手な人もいる」というのは、当然のことだった。

わたしや、わたしのバンドの音にラーメンのような個性はあっただろうか。

他と違って、ここにしかなくて、
なんなら「個性が強すぎて嫌い」と言われてしまうくらいの、強さがあったのだろうか。

きちんと受け入れることができていただろうか。
みんなに愛されるラーメンは、残念ながら存在しない。
個性は疎まれることがあるし、没個性も同じように疎まれることがある。

好き嫌いは、良し悪しとは別の次元で、確かに存在する。



のぎさんとわたしの文章は、ぜんぜん違う。

それでものぎさんは、わたしの書く文章を好きだと言ってくれた。
わたしはのぎさんの文章を「すごい!おもしろい!!!」と熱烈な視線で見つめている。

今回の企画も、「のぎさんの作品はおもしろかったけど、まつながのはちょっとな〜〜〜」って思う人がいるはずだ。

うん、それでいい。

わたしたちは個性をぶつけあって、お互いの言葉と温度を感じ取り、引っ張り合いながら
そして目標にしていた「楽しく書く」をクリアした。
それは、すごくすごくしあわせなことだった。

続けるために資金がいる、という問題について目を背けてはいけないけれど
まずは、ラーメンだって味が違うし、バンドだって音が違うことを受け入れて
わたしたちが強い個性でぶつかれたこと。

わたしは今日、それをうれしく思っています。
のぎさんほんとうにありがとうございます〜〜〜!!!!!!



のぎさんの四季

わたしの四季


【photo】 amano yasuhiro
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