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ぜんぜん前に進めなくて、自転とも反対向きなの

「仕事」と思うと、毎朝起きれるのは本当に不思議だと思う。
仕事、あるいは約束があれば、わたしは大概きちんと起きる。

元気よく目覚めることは、できない。
朝はいつもぼおっとする。
ぼおっとする時間をたくさん確保できるほどの早起きもできないので、ラジオ体操で無理やり目を覚ます。
健康のため、ダイエットのため。
なんていうのは結局二の次で、朝手っ取り早く目覚めたいだけだった。

少しはマシになった身体を引きずって、身支度を整えながらスープを温める。
これは、おひるごはん。
あさごはんを食べるのは苦手なので、もう食べないことに決めている。
毎朝コーヒーを飲んで、一服。
家を出る前に、キャンディーをひとつだけ口に放り込む。

毎度、それなりの時間に家を出られることは、奇跡みたいだ。

適切な速度で、わたしは蹴り出す。
歩くのはそんなに早くないから、たくさんの人に追い抜かれる。
それはなんだか、自分がちっぽけな存在のような思えていたけれど、そんなふうに考えることはやめた。
あなたとわたしでは、適切な速度が異なっていて、わたしのほうが遅いだけで、それが「よくないこと」では決してない。

適切な速度で歩いているつもりだけど、なんだか前に進んでいないような気がする日がある。
もしかしたら、いつもより歩くのが遅いのかもしれない。
でも、遅いだけできちんと前には進んでいる。

それでも、足取りはずいぶん重く感じる。
そうして、必ずこう思う。

まるで、自転と反対向きに歩いているみたいだ

まだ高校生だったとき、中庭を歩きながら思ったことを、いまでも鮮明に覚えている。
あの日はなんだか身体が重くて、いくつかの問題を抱えていた。
もちろんいまは「いくつかの問題」をひとつも覚えていないけれど、あのときのわたしにはすごく大切なことだった。
前に進みたかった。
進んでいるはずだった。
でも、エスカレーターを逆走しているような気分だった。

あれから10年以上経ったいまは、「そういう日もあるよね」と受け流す。
もう、気づいている。
もし自転と反対側に進んでいたとしても、それが「わたしの望む行き先」に向かっているならば、進み続けるしかない。
だいじょうぶ、と言い聞かせる。
わたしは動いているし、戻っていないのだから。

そうしてわたしは目的地にたどり着き、
「おはようございます」と、今日もにっこりと微笑むのだった。



※「グリコチョコレイト」という曲で歌詞にもしました。きっと一生歌います



【photo】 amano yasuhiro
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