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クッキーはいかが?

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1200文字以下のエッセイ集。クッキーをつまむような気軽さで、かじっているうちに終わってしまう、短めの物語たち
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#コーヒー

ねむい(救い)

約束の時間の、1時間半くらい前にスタバに着いて 今日分のnoteを書いてしまおうと思ったのだけれど、撃沈してしまった。 「言いたい」と「伝えたい」は全く異なる作業で 伝えるために、どれだけ「言いたい」を削れるか。 今日は、書いた半分を消した。 伝えたいときには、それなりの準備が必要だということを学んだけれど、準備しようと思うと面倒で後手になるのはわかっているので、また勢いで書き始めるのだと思う。 むかしは、「準備のできないわたしはダメなヤツだ…」と思い、いちいちきちんと落

ミラノサンドを食べない

今日は、ドトールでコーヒーを飲んだ。 「コーヒー飲もうかな」って思って、 「やっぱりやめよう」とハッキリしっかり決められずに、 「どうしよっかなァ」というときには、飲むようにしている。 コーヒー屋でしか生まれないものはたくさんある。 それは、この部屋で生まれるもの以上に 余所にいたほうが自由な気分だなんて、なんだか不思議だ。 月に何回くらいコーヒーを飲むだろうか。 多いときは週に1回以上だし、少ないときには月に2回くらいというこの回数が 多いのか少ないのかわからないし、

いつでもティータイム

朝、ハーブティーを飲む。 昨日は、水を飲んでいたと思う。 その前は、コーヒーだった気がする。 冷蔵庫を満たして、 この部屋をドリンクバーにすることを愛している。 いつからか、気づいたらそうだった。 コーヒーは家族も飲むので、切らさないようにしていた。 「そんなに気を遣わなくていいよ。コーヒーなくても平気だよ」と言われて、いつもなぜだかイラッとしてしまう。 確かに、あなたが飲むことも想定しているけれど、決してあなたのためではない。 「コーヒーを切らさないわたし」でいたいだけ

煙草と呼吸

急にむせ返って驚く。 言葉通り、急に、げほげほと慌てて息を吐く。 煙草のせいかなと思ったけれど、火の点いた煙草はキッチンの灰皿の上。 わたしは自室に置いてあったスマートフォンを取りに来たところだった。 しばらく立ち止まって、キッチンに戻る。そしてまた、息が詰まる。 褒められたものでないことは重々承知しているけれど、「煙草を吸う」ということは「息を吸う」ということだと思っている。 いまわたしは何よりも確実に、呼吸をしている。 自分の体にイレギュラーが生じたとき、「煙草のせい

ふまじめに愛してる

好きって、 まじめに ずっと ひとより いつも 好きじゃなきゃいけないって、思ってた。 ねえ、ほんとうはさ ぜんぜん、そんなことないよ。 コーヒーを淹れるのが好きなくせに、サボってインスタントコーヒーも飲んじゃう。 毎日練習しないけど、ピアノと遊ぶのは好き。 へたくそだけど、うたっているときはいちばんたのしい。 アクセサリーは好きなのに、つけるのがへたくそ。 浮かれて買った本も、ぜんぶ読めてないよ。 うまくいかないね。 理想通りじゃないかもしれないね。 そんなふまじめ

わたしには、そういう生き方がいい。

そろそろ、いいかもしれない。 充分、満足した。 そんな気持ちで、ふとんを蹴り上げた。 * 眠ってしまおう、と思う。 ときどき、そう思う。 「少し休もう」ではなく 「もういいよ」と思って、眠りにつく。 「あれもこれもやらなくちゃ」とか、 「今日の日課も終わってない」とか、 「掃除もしてない」とか いろいろ思うけれど、まあまあ、落ち着きたまえ。 眠ってしまおう。 今日のところは、それでだいじょうぶ。 * そんなふうに眠ると、朝が来る。 “相当”寝すぎない限り、最終

夜のコーヒー

夜のコーヒーが、好きだと思う。 大前提として、コーヒーはいつも美しい。 と、わたしは思っている。 淹れたてのコーヒーも、 冷蔵庫で冷めたやつも 朝、目覚めのコーヒーも 川辺でひとり飲む缶コーヒーも 気だるげにお湯をそそぐインスタントコーヒーも ご褒美のスターバックスも あなたと飲むなら、コンビニのアイスコーヒーだって良い。 あなたが淹れてくれた、あたたかいコーヒーだけが、もしかしたら特別かもしれない。 コーヒーは買うものか、自分で淹れるものだから。 * 夜に飲むコー

とろり、溶けるコーヒー

起きてすぐ、洗濯機をまわしてバスルームに飛び込む。 そうしないとわたしは、もう一度眠ってしまう。 髪を乾かして、洗濯物を干して、掃除をする。 妙にテンションが上がって、「このあとはどうしよう」と意気込む。 そうね、コーヒーでも飲みましょう。 冷蔵庫には、ドリップしたコーヒーが眠っている。 家で飲むコーヒーは、牛乳と半分。 冷たい牛乳に、コーヒーを落とす。 このまま飲んじゃおうかなあ、と勇むような気持ちのわたしに、 もうひとりのわたしが「待てよ」と肩を叩く。 冬だもの

毎日の、スプーン1杯で

コーヒーをペーパードリップするようになって、もう何年経つだろうか。 ガラスのサーバーは、定期的に割ってしまっているので、もう3代目とか4代目だと思う。 まったく同じものを買うこともあるけど、 近所に売ってない、とか せっかくだから違うのを使ってみよう、とか 別のものを買うこともある。 わたしはいつも、サーバーの限界までコーヒーを落としたい。 だから、サーバーの大きさに合わせて、豆の量を調整する。 今のサーバーでは、豆は「6杯分」だった。 なんでそうしたか覚えてないけど、

インスタントコーヒーの瓶

インスタントコーヒーの瓶を開けると、 十代の頃のわたしが、現れる。 インスタントコーヒーを日常的に飲んでいたのは、17,8歳から、20歳くらいまでのあいだだと思う。 コーヒーを飲めるようになったのがその年齢で、 20歳を越えたら、ペーパードリップに切り替えていた。 ゴールドブレンドの瓶を、わたしは何度も開けた。 高校生の時に友だちにもらった、ピンクのスヌーピーのマグカップは、他のものより少しだけ大きくて、よく使っていた。 台所が1階にある、実家の記憶が、ぶわりと込み上

コーヒーと、夜の魔法

ときどき、夜にコーヒーを飲む。 ときどき、「眠れなくなるよ」と同居人に言われるけれど、関係ない。 わたしは、眠りたくないときにエスカップを飲むだけで、 だいたい、いつでも眠れる。 “松永爆睡”というのは、大学時代につけられた二つ名だ。 コーヒーは、いつもサーバーにたっぷりと落とされている。 カラになったら、また落とすので、いつでも冷蔵庫にコーヒーが入っている。 家で飲むコーヒーは”たっぷり”がいいので、たくさん牛乳を入れる。 夜にも、コーヒーを飲む。 だいたい、「もう

今日もわたしは、適切に生きられない

今朝も、コーヒーを淹れる。 * コーヒーは良い。 そして、ペーパードリップは良い。 お湯を沸かしているあいだに、顔を洗う。 そして、お湯が湧いたら煙草に火をつけて、ゆっくりとドリップする。 わたしの、大切な時間。 * 何百回、 きっと何千回も、わたしはペーパードリップしている。 サーバーは定期的に割ってしまっているので、もう3代目か4代目になるけれど いつも同じくらいの大きさのサーバーを買って、たっぷりと落とす。 やかんはもう、10年以上同居をしている。 あ

毎朝のコーヒー

「あ、コーヒーがある」 寝ぼけまなこで、君が言うのが好きだった。 コーヒーをペーパードリップするのは、わたしの役目だ。 5〜6杯用のサーバーに、たっぷり落とす。 サーバーがからになると、またコーヒーを淹れる。 使い終わったドリッパーが洗ってあるし、 さっきお湯を沸かしていたから(大きな音の鳴る、笛吹ケトルを使っている) コーヒーを淹れたことには、気づいているかもしれない。 そんな、「やはりあるな」という声のときもあるし、 冷蔵庫にコーヒーがあることに、ほんとうに驚いて