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毎日の、スプーン1杯で

コーヒーをペーパードリップするようになって、もう何年経つだろうか。
ガラスのサーバーは、定期的に割ってしまっているので、もう3代目とか4代目だと思う。

まったく同じものを買うこともあるけど、
近所に売ってない、とか
せっかくだから違うのを使ってみよう、とか
別のものを買うこともある。

わたしはいつも、サーバーの限界までコーヒーを落としたい。
だから、サーバーの大きさに合わせて、豆の量を調整する。

今のサーバーでは、豆は「6杯分」だった。
なんでそうしたか覚えてないけど、たぶん前のサーバーより大きくなったから、豆の量を増やしたとか、そういう理由だったと思う。

牛乳を入れて飲む我が家のコーヒーは、ずいぶんと濃い。
気づけば、「牛乳を入れなければ飲めない」くらい濃かった。

でもそれが、当たり前、だった。

友達が遊びに来てくれるたびにコーヒーを出したりしたけど、
一度「ブラックで」と言った友達も、「やっぱり牛乳ください」と言うので、相当濃かったんだと思う。

これが、当たり前の我が家だったんだけど
あるとき、「いや、待てよ」と思った。
なぜだか、そんなふうに思えた。

「豆を5杯で試してみよう」

長く続いた習慣を、わたしは壊してみることにした。
豆を5杯だけ掬って、ある朝わたしはコーヒーを淹れた。

「あ、おいしい…」

今まで、お腹をぐいっと押されるような濃さだったけど
今回は、肩をトンと叩かれるような、やさしい味がした。

同居人に関しては、なにも言わずに飲んでもらったら、「気づかなかった」と言われてしまった。
種明かしをしたあと、もうひとくち飲んだら「おいしい」と言ってくれた。

なんだ、別に5杯でもよかったのか。

わたしはキッチンでひとり、笑ってしまった。
わたしの長年信じてきたものってなんだったんだろう。
それも「信じてきた」というよりも、完全な「思い込み」のような、呪縛となってしまっていた。何も考えず、囚われていた。

また、濃いものが飲みたくなったら、6杯分のお豆を使ったらいいじゃない。
たったそれだけのこと。
気分で使い分けたって、ぜんぜんいい。

毎日の、スプーン1杯

たったそれだけの変化に気づけたことで、
わたしのからだは、ぐんと軽くなったような気がしている。




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