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夜のコーヒー

夜のコーヒーが、好きだと思う。

大前提として、コーヒーはいつも美しい。
と、わたしは思っている。

淹れたてのコーヒーも、
冷蔵庫で冷めたやつも
朝、目覚めのコーヒーも
川辺でひとり飲む缶コーヒーも
気だるげにお湯をそそぐインスタントコーヒーも
ご褒美のスターバックスも
あなたと飲むなら、コンビニのアイスコーヒーだって良い。

あなたが淹れてくれた、あたたかいコーヒーだけが、もしかしたら特別かもしれない。
コーヒーは買うものか、自分で淹れるものだから。

夜に飲むコーヒーは、冷蔵庫で冷えたやつが多い。
自分でペーパードリップした残りを、ぐびっと飲む。

だいたいそのときのわたしは眠たくて、それでもこのあと頑張って言葉を紡ぎたい。と思っているときだった。
コーヒーで吹き飛ぶような、かわいい眠気じゃないけれど
「これから頑張るぞ」と云う、それはわたしだけの合図だった。

眠気に負けるわたしの言葉は、いつだって宛てなく漂っている。
そんな夜に、冷たいコーヒーと紡ぐ、眠気も闇夜も切り裂かないような言葉たちを、わたしは愛している。

言葉を選ぶ力を失いながら、正気を保とうと必死に堪えるわたしの中に
いつだって探している、わたしが思う「わたしらしい」ってやつが
どうしても、潜んでいるような気がしてしまう。

それは、ちょうどこんな夜の話だった。



【photo】 amano yasuhiro
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