【学級経営】立ちはだかる「ノート」の壁。

教師の中で、よく議論される話題の1つ。「ノートは、書くべきか。」について書きます。

ずっと迷っていたのです。先輩の先生方に聞いても、答えは様々。「問題文まで全て書く。色も指定して囲ませることが大切!」と主張する先生がいる一方で、「ノートは優しくないから書かない!断然プリント派。」という先生もいらっしゃいます。迷いながらも自分なりに調べ、実践を積み重ねてきた結果、「ノートは書くべきである。」という結論に達しました。

▶「ノート」界の挑戦者となるために。

小学校入学と共に、平仮名、片仮名などの練習が始まります。ある程度文字を書けるようになると、黒板に書かれた文字を写し書きをする練習が始まります。きっと1年生の担任の先生は、

「先生と、同じ早さで書けると良いですね。」

とアドバイスをするでしょう。この時点の目的は、「黒板の文字を、自分のノートに写す」ことです。駆け出しの頃は、黒板に書かれた文字を写すことで精一杯でしょう。しかし、この練習を積み重ねることで、文字を書くことに慣れていきます。高学年になれば、「友達と話をしながら」とか、「考え事をしながら」黒板の文字を写すことができるようになります。「無意識で文字を書き写す」という上級者になったということです。小学校教育でこのレベルに達していれば、中学校から始まる主に講義型の授業スタイルにも対応できること間違いなしです。

▶挑戦者に立ちはだかる壁①

ノートに写すことに慣れてきた子どもが、次に目指すべ目的は、「価値のある情報が書かれたノート」です。残念なのは、文字を書くことに精一杯で、教師の説明を聞き逃して授業の内容が分からない状態です。そもそも、ノートを書く最大のメリットは、「読み直して学習を想起する」ことです。中学校以上になると、小学校のときと比べ物にならないくらいテスト範囲が広がり、復習をしないと思うような結果が出ないことがあります。そのようなときに心強いアイテムの1つが「ノートに書かれた情報」なのです。ノートを自分の実力を高める心の友とするためには、「黒板の文字を書き写す」ノートから、「重要な情報を取捨選択して書く」という力が求められます。肝心なのは、教師や友達の話を聞いて、大切だと思ったことをノートに書くという力です。このときに「無意識に文字を書くことができる」スキルが発揮されます。ただ、全員がこのスキルを習得しているとは限らないので、教師は、適宜「ノートを書くことに集中する時間」を設けたり、「ノートに書かなくても良い。」という指示を出したりと手立てをとる必要があります。

▶挑戦者に立ちはだかる壁②

「無意識で文字を書く」スキルを身に付け、「必要な情報を取捨選択できる」レベルに達したら、次にぶつかるのは、「効果的にまとめる」という壁です。今更ですが、教師が利用する黒板とノートの形が違うところから難しさは始まっています。さらに難しいのは、高学年になると黒板の真ん中から書き始める教師がいます。これは、教師目線で考えると「板書の工夫」であり、黒板を1枚の図として捉えて、子どもたちの思考の流れや相違点を分かりやすく整理しようという目的があります。教師の頭の中には、完成された図がイメージされています。ただ、それは教師側から考えた場合であり、多くの子どもたちが、

「おいおい!先生真ん中から書き始めたぞ。ノートどうするよ・・・。」

という思いでしょう。他にも、算数で図を書く場合など、いつも通りに書いていくと、スペースが足りなくなってしまう問題があります。国語では、項目を先に書いて、後から埋めていくパターンになると、子どもたちは、

「いったい、どのくらい間を空けたらいいんだ!」

と、大混乱に陥ります。もちろん、教師側は、「ノートの真ん中に四角を書くよ。」「後で、気付いたことを書くから、5行空けて次の文章を書いてね。」などと指示をするのですが、壁①をクリアしていない子どもにとってみると、お手上げになるわけです。このように、ノートをどのように書くのか迷っている混乱状態では、教師の説明どころではなく、学習効果は下がること請け合いです。難しいデザインになるときは、思い切ってワークシートを使うのも手立ての1つだと思います。ただし、ノートレベル上級になるには、この教師のイメージでノートを書いてほしいということです。関連する情報であれば、「線を引いてつなげてみる」ことや、重要キーワードには、「簡単な印をつける」など、ノートを書く際の「自分の流儀」を確立することで、各段に分かりやすいノートになっていきます(もちろん、流儀が難しすぎて、「ノートをきれいにまとめる」ことが目的になってしまってはいけませんが)。

▶壁を乗り越えるために、家庭でできること。

このように、ノートを書くということは、単純作業にしてはいけません。ただ、壁を乗り越えるタイミングは、みんな違います。ぜひ、保護者の方は、子どものノートを定期的に確認して、

「とにかく見やすいノート。」

となるようにアドバイスをしてあげてください。

そのときのポイントとして、低学年であれば、「丁寧に正確な文字が書けているか。」を見てあげましょう。マス目のノートを使っていることが多いと思いますので、「マスの中に大きな文字で書けていること。」を褒めてあげてください。高学年になるにつれ、丁寧さに課題を生じることがあります。教師から無理やりノートを書かされている場合は、「取り敢えず文字さえ書けていればいい。」というモチベーションで書かれた衝撃の作品が発見されるかもしれません。そのようなときは、

「全部書かなくてもいいから、大切なところだけを丁寧に書こう。」

というアドバイスが良いと思います(全部書け!という教え方に人にあたっていたら要相談)。

中学校入学前であれば、必要な情報を自分なりにまとめられるノートになってほしいものです。ノートを話題にしながら

「この授業って、どんな内容なの?」

と質問をして、説明してもらう中で授業の理解度とノートの記述を確かめましょう。授業の重要ポイントが押さえられて書かれているようであれば、きちっと説明できるはずです。あやふやなようであれば、

「大切だと思ったところはどこなの?」

と聞き、一緒に分かりやすいノートを作っていくという手立ても楽しいかもしれません。「分かりやすいノート」イメージが、子どもに伝わると、ノートづくりが上達していきます!

もうすぐ、新学期。気持ちを新たにスタートできるのが4月です。いつも以上にノートを頑張って書こうと思う子どもが増えることでしょう。このチャンスを、学習意欲の向上に生かしましょう!


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