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取材と執筆前に、参考書籍をどう選ぶ?【ライターが資料を集める方法】

「参考書籍がほしいけれど、数が多すぎてどれを選んだらいいかわからない」

ライターの仕事をしていると、参考書籍がほしくなるときがよくあります。特に私は、取材やインタビュー記事の仕事を受けるようになってから、本を手に取る機会が増えました。

なぜかというと、書く内容の専門性が上がったから。取材先の方のほうが私よりもその分野については当然詳しいので、お話を聞くにも、そのお話を文章にして読みやすい形に落とし込むためにも、より深く正しい知識が求められます。

そういった背景から、最近は「参考書籍を選んで用意すること」も仕事の一環になりました。ただ、どうやって参考書籍を選ぶかはクライアントさんや編集者さんがわざわざ教えてくれることではありません。ライタースクールでもそう多くは取り上げない内容かなとも思うので、私なりのやり方をシェアしてみますね。よかったらご参考になれば幸いです。

ライターの私が参考書籍を選ぶときの優先度


まずは、私が参考書籍を選ぶときの目安についてです。すでに取材の仕事を数多くこなしている方であれば習慣づいているのかなと思うのですが、私の場合はこのような本をチェックしています。

【参考書籍として見ている本】

  1. 取材先の方が書いた著書

  2. 取材・執筆する分野のことがわかる本で、自分に足りない知識を補えるもの(基礎が知りたければ初心者向けのやさしい本。トレンドが知りたいなら、今のトレンドをテーマにした本など)

取材先が著名人であったり、学者・医師など専門家の方々であれば、過去に書籍を出版していることがあります。私が自分でインタビューを行う場合には、必ず著書はチェックします。

人によっては著書が何冊もある方がいらっしゃるので、その場合はより新しい著書から。過去の著書で、自分が書くテーマにもっとも近しいタイトルがあればその本を見るようにしています(時間とお金が許すのであれば、全部目を通したいところではあります)。

著書をお持ちでない方へのインタビューや、企業のインタビュー記事であれば、資料としてまず見ておきたいものは取材先のホームページやSNS、そして編集・ディレクターさんからいただく事前情報です。それだけで足りない場合に、その分野について勉強するために書籍を手にとるようにしています。


書籍は「紙」と「電子」どちらで買うべき?

書籍の買い方については「紙で買いたい」「電子でスマートに管理したい」と、こだわりをお持ちの方もいらっしゃると思います(紙VS電子は永遠のテーマですよね笑)。私は紙も電子もどちらも買っていて、買い方にマイルールがあります。

【紙で買う本】

  • 取材先に持っていきたい本(とくに著者さんの本)

  • 全体を俯瞰して読みたい本(自分があまり詳しくないジャンルの本)

  • 電子版が売っていない本


【電子で買う本】

  • 今すぐにほしい本(書店に行く時間がない、最寄り書店に在庫がないときに)

  • ページ数が多い本(自宅での管理や持ち歩きに便利)

昔は紙の本ばかり買っていましたが、さすがに家に置くスペースにも限界はあるので、最近ではスマホで読める電子版もなるべく活用しています。取材まで日がないときには、わざわざ書店に行く時間を作るよりも資料チェック&取材準備をしたいので、電子版を選んでいます。

とはいえ紙の本にも良いところはあって、ぱらぱらとめくって全体像が頭に入りやすいことと、現地取材やオンラインで相手の方に現物を見ていただけることはメリットです。


参考書籍はどこで、どうやって見つける?

「本を買うのはいいけれど、どこで買えばいいか」「なかなかほしい本が見つからない、時間がない」という方もいらっしゃるかと思います。私の場合は、普段このような方法で参考書籍を見つけています。

【参考書籍の見つけ方】

  • 取材先のプロフィールを見て、著書の有無を確認する

  • 書店に行くことを習慣にする(とくに新刊をチェック)

  • Amazonの人気ランキングを見る(ブックマークしておいても◎)

  • Amazonのレコメンド機能「この本を読んだ購入者はこれも読んでいます」で出てくる本を見て、気になったらほしいものリストに入れておく

  • 出版社のSNSをフォローしておく。メルマガ会員になる

  • そのジャンルで表彰されている話題の書籍を見る(奥付を見て、何度も重版されていたらぜひ読みたい本です)

  • そのジャンルに詳しそうな人に「おすすめの本ありますか?」と聞いてみる

購入する本が決まっていれば、私はAmazonや電子書籍アプリ(DMMやブックライブなど)ですぐに注文します。そうではない場合、たとえば「ざっくりと○○について知りたいんだよな~」というときには、最寄りの書店に出かけるようにしています。書店で本を見て比べることもインプットになりますからね。

書店がすぐ近くになかったり、時間がなくてなかなか行きづらい方もいるかと思うので、そういった方はオンライン書店の検索機能やSNSの活用もおすすめです。ライターさん同士で「おすすめの本ありますか?」とシェアしていくことも、良い記事づくりに繋がりそうですよね。

書籍代はクライアントに請求できる?

ここまで読まれた方のなかには「書籍ってそんなに買わなきゃいけないの?」「そんなに書籍代を出せないよ」と不安に思われた方もいるかもしれません。

アドバイスのひとつとして、クライアントさんに書籍代を請求できる場合があることも紹介しておきます。

ライターのお仕事のなかには、原稿料(報酬)とは別で経費請求をできるものがあります。たとえば取材先への交通費がわかりやすいですね。

参考書籍に関しても、クライアントさんが認めてくれれば請求できます。私もこれまでにライターとして参加した案件で、企業さんやWebメディア編集部さんに書籍代を請求させていただいた経験は何度かあります。そのときには、指定のルールに沿って請求書を作って提出したのちに、原稿料とともに振り込んでいただきました。

注意点としては、書籍代を必ず出してくれるとは限らないこと。契約書に「経費は自己負担とする」とあれば、参考書籍も自分で買うことになります。そのためライター業に慣れていない方は、契約書を交わすときには経費のルールをしっかり見ておくこと(よくわからなければクライアントさんに質問すること)をおすすめします。


もう一つ大事なポイントで、書籍代を出してもらえるかどうかは、ライターが自分で聞かないとわかりません。事前の説明で「書籍代は出しますから」みたいに言ってくれるクライアントさんはそう多くないので、必要になったときに自らお願いすることになります(私もいつも自分から申し出ています)。

すでに契約済みでお仕事を進めていらっしゃる方であれば、「この記事で○○の書籍をどうしても参考資料に使いたいのですが、書籍代も請求させていただくことは可能でしょうか?」と聞いてみてください。理由に納得いただければOKが出ることもありますし、予算的に厳しいと断られることもありますが、ライターとして気持ちよく仕事を続けていくためのコミュニケーションだと思いますので試してみてもらえたら幸いです。


【まとめ】私が仕事で参考書籍を見る理由

さいごに、そもそもなぜ私が参考書籍を大事にしているかについても触れておきますね。

意外に思われるかもしれませんが、実は私はライターを始めたばかりのころにはあまり仕事のための本を読んでいませんでした。

当時はWebコンサル会社のSEOライターから駆け出しでスタートしたのですが、「ネット上にある情報で記事は書ける」「毎日毎日記事を書いて文字を見ているのに、わざわざ本まで読む必要はないだろう」と思っていたんです。報酬も今より安かったので、なかなか書籍を買うお金がなかったことも理由でした。

それでも、同じオフィスで働いていたベテランライターさんが、難しい記事を書くときに何冊も本を持参していたことが今でも鮮明に思い出せます。「ああ、プロのライターってこうやって仕事をするんだな」と、背中を見せてもらえた気がしました。その有り難みがわかったのが、9年経った今です。

今の私ならば、ライターとして書籍を見る理由をきちんと言語化できます。

より良い記事を目指すため。
正しい知識を得るため。
取材先との距離を縮めるため。
読者に届ける言葉を探すため。
構成や見せ方を工夫するため。
自分の見ている世界を広げるため。

そして、本が好きだから。


少しでも皆さまにとって役立つところがあれば嬉しく思います。

もしこのnoteに書いていないことで「参考書籍ならこうやって選んでますよ!」などあれば、ぜひお気軽にコメントしてくださいね。





noteを読んでくださり有難うございます!創ることを通して、今を生きる人の力になるコンテンツを届けることが私の喜びです。