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永田カビさんの『迷走戦士』第2話感想:愛情のない家庭の末路を知る


 永田カビさんの連載『迷走戦士』の第2話が更新されており、すぐさま見ました。


 この一か月とても楽しみにしていました。
 なんかカビさんの絵って、そのクオリティもさることながら、見ていて安心するんですよね。
 『一人交換日記2』のときもWebでリアルタイムで追いかけていて、その絵がどんどん荒れていくことにはらはらしていた身としては
 永田さんのいつもの絵がそこにあるだけで何だかほっとします。




 さて、第2話の感想ですが、今回もとてもおもしろかったです。

 どうやらこの連載自体、『パートナー間の愛』についてが主なテーマになっているらしく、そして今回はその存在自体をカビさんが認識するところから始まります。

 永田カビさんはそれまで、「すべての夫婦は嫌々結婚している」と思い込んでいたそうです。
 しかし友人の結婚式で感動したり、エッセイやTwitter上で他のひとたちのパートナー間のあたたかいエピソードを知り、「そうではないのでは?」と30才にして考えを変えるに至ったそう。



 そもそもなんでカビさんが「パートナー間の愛情」を信じられなかったかというと、

 うちの両親(一番身近なパートナー同士)は見合い結婚の上、
 聞かされるエピソードも酷いものであった為……

 というように、それは自分の両親を見ていてそう感じたんだそうです。

 まあ正直、(本の中で見る限りですが)カビさんのご両親の感じを見ていたらそう思っても仕方ないかも……と思いました。

 というのも、カビさんは以前pixivにあげている漫画のなかで、両親の結婚について描いていたのですが,

 その中で書かれていた「両親の結婚」とは、

・見合いで納得のいかないまま結婚
・お互い好きじゃない。結婚式中も母は「何でここに居るんだろう」と思ったらしい。
・母「なんとかなるやろと思った」
・子供はほしい。これも「子供ができたらなんとかなる」と思った。

 というもの。


 わたしはこの漫画を見たときに、「うわぁぁぁ、日本社会の根深き悪しき習慣……そしてこれはその末路なんだ……」と思ったのを覚えています。




 わたしは以前の記事で『日本の結婚』について書きました。

  そこで結婚をする年齢がどんどんあがってきている、という話をしたのですが
 そもそも結婚をしないひとも増えていて、
 わたしはそれをとても、とても『健全』なことであると思っています。

 というのも、何かの本で見たのですが、
 『日本の未婚率』があがっていることが批判されていることについて、「確かに昔の日本人は皆結婚していたが、皆が同じ年齢で一律に結婚できていた時代が異常だっただけで、今が普通なのだ」と書かれていました。

 わたしはそれを見て、衝撃を受けるとともに、ほんとうにそうだよなあ……と深く納得しました。

 

 昭和の時代まで、「とにかく20代のうちに結婚しろ」という強迫観念が世間にはびこっており、だからこそ皆結婚していましたが、
 それを実現させるには、とても全員が「自然に恋愛して結婚」できたはずがなかったのです。
 つまり、親によるほぼ強制の結婚――カビさんの両親のように『お見合い』で「とりあえず結婚」という流れは決して珍しくない……むしろ多くあったことなのでしょう。


 

 勿論『お見合い結婚』でも幸せな家庭もたくさんあると思うので、お見合い自体を批判するつもりはありませんが、
 お見合いのように結婚を周りで固めることで、「こんなにしてもらったんだから結婚しないと申し訳ない」という周りからの圧力(特に親)、「もうそろそろ私も結婚しないと恥ずかしい」などといった世間体などを気にした結果、

 当の本人たちが「何かが違う」という“違和感”を持っていたとしても、「まあ、なんとかなるだろう」とそのまま結婚に踏み切ってしまう、ということが多く起きていた事実は避けようがないと思います。 

 しかしその“違和感”とは別の言い方でいうと“直感”であり、人間にとって最も無視をしてはいけないものなのです。



 しかしその“違和感”――“直感”を無視した場合、どうなるのか。

 わたしは今までいろんな、本当に数多くの精神病を持ったひとのエッセイや漫画、長期ひきこもりについての本、犯罪心理学の本やルポなどを読んできました。
 それで『心に酷く歪み』をもち、それゆえに自分を攻撃したり誰かを攻撃したり心を深く閉ざしたりしている人間の事例を勉強してきましたが、
 その根本の原因はほぼ『家庭内の不和、そして愛情のなさ』にきていると言ってもいいぐらい、子供にとって「両親間の愛情」の有無というものは非常に重要なのです。
 

 それをないがしろにした、その末路を、わたしたちは永田カビさんの漫画を読むことで知れるでしょう。

 




 よく、「田舎に帰ったら、親から見合いを薦められた」というエピソードを聞きますが
 わたしはそういうエピソードが反吐が出るほど大っ嫌いで、強い嫌悪感をもっています。

 まだ「お見合い」の提案だけならいいですが、これを強制して無理やり実行した場合、立派な人権侵害であると思います。
 それぐらい、親からの「結婚の強制」というものは罪であり、その罪深さを知らない無知な親がこの日本にまだ多くいることに怒りを越えて呆れを感じています。

 

 まあ、でも、そういう親は少なくなってはきているんだろうなあ、と思います。
  だから最近、「お見合い結婚」ってあんまり聞かなくなってますよね。


  カビさんはどうやらこれからマッチングアプリに手を出す模様。
 これは「お見合い」とは違って、自分で相手を見つけるので、「お見合い」に比べればはるかに健全であると思います。

 次の更新もすごくたのしみです。




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『迷走戦士』第1話感想はこちら↓




 

 
 

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