丹塗の円柱とキリギリスにアンダーライン
わたしは小説が好きだ。
しかし、本を読むのが遅い。
だいたいの作品は、最低でも読み切るのに一日はかかる。
読むことに時間がかかる理由は、たぶん、心理描写やセリフの意味を納得がいくまで考えてしまったり、情景描写の隅々まで想像しようとしてしまったりするからだ。
でも、そういうふうに読まなければ気が済まなくなった原因がある。
話は9年前、わたしが高校生だったころに遡る。
そのころ、現代文の授業で芥川龍之介の『羅生門』を読むことがあった。
その授業でわたしの、小説というものに対