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勝負所でわたしを咲き誇らせてくれた曲

3年前の夏。
わたしは人生の大事な局面を迎えていた。
それは、就活だ。

それまでのわたしは、面接試験から逃げることだけを第一の目的として進路を選択してきたのだが、就活ではそうもいかない。

精神的にはあまり追い込まれていないつもりでいたけれど、体は正直だった。
面接の前には必ずお腹が痛くなったし、
会場へ向かう朝の電車のなかで気分が悪くなり、うずくまってしまったこともあった。

第一志望の面接の日も、例外ではなかった。

その日は、実家から片道1時間半をかけ、高速バスで面接会場へ向かった。
慣れないスーツにパンプス。
体も心も窮屈で、ずっと落ち着かない。

長距離移動をするときの習慣で、イヤホンをつけて音楽を流していたけれど、どんなメロディも歌詞も、心の中には届かず表面をすべって通り過ぎていくような感覚だった。

バスが高速道路を降り、いよいよ面接会場が近づいてくる。
わたしの心はずっと、ざわめき立っていた。

そんなとき、ふと、「あ、あれ聴こう」と思い立った曲があった。

コブクロの『今、咲き誇る花たちよだ。


この曲は、NHKソチオリンピック・パラリンピックのテーマソングで、4年に1度の大勝負へ向かうアスリートたちを、花にたとえて歌った曲だ。

面接という勝負所を迎えたわたしにとっても、最適な曲だった。
しかし当時のわたしは、そこまで深く考えていたわけではなかったと思う。ただ直感的に、聴こう、と思った。


君と夢との結び目を 強く握りしめて
信じた空見上げてる あの瞳のように

今 咲き誇る花たちよ 天高く羽ばたけ
愛すべきこの世界を彩るように


強く背中を押しながらも優しく寄り添ってくれるような歌詞と壮大なメロディが、わたしの中に抵抗なく浸透してきて、心のざわめきをスッと消し去ってくれた。

そうしたら何故か、それまでの自分のことが頭の中に浮かんできた。

特に、弱い自分に何度も嫌気がさして心が折れて腐りながらも、大好きなバスケを諦められなかった、小学校から高校の部活時代。

そうだ。これまでわたしは、ちゃんと辛いことや苦しいことを乗り越えてこられたじゃないか。
その時その場所で、ちゃんと頑張れていたじゃないか。

だから、今日だって大丈夫。

そう思うことができた。
それと同時に、そう思わせてくれた過去の自分をとても誇らしく思った。

面接に臨む緊張がなくなったわけではなかったけれど、心に余裕が生まれた。

あの状況で「自分を信じてみよう」と心から思えたことは、どんなに完璧に準備した「あなたの強みは?」に対する回答よりも真実味のある、強みだった。

あれから3年。
あの日の面接会場は、わたしの職場になった。

もちろん、理想通りに行くことなんてほとんどなくて、これから先、どんな未来を選ぶことになるかは分からないけれど、今のこの状況はとてもありがたいものだなと思う。

それこれもすべて、『今、咲き誇る花たちよ』という曲のおかげだ。



終わりに、この曲の中で、わたしがいちばん好きなフレーズを引用する。

微笑みが途切れそうな日は 思い出してほしい
遠ざかりそうな夢を 手繰り寄せ 駆け抜けた道を
それでもこぼれる涙は もう拭わないでいい
本当の君に戻って また立ち上がればいい

今、就活などで人生の勝負所に立っている人。

世間の言う「正しさ」とか「こうあるべき」をたくさん押し付けられて、劣等感にまみれて、心も体もボロボロになってしまうことがあるかもしれない。

でも、いつだって1番大切にすべきものを知っているのは、「本当の自分」だ。

踏ん張って頑張ってだめだったら、本当の自分、自分が好きでいられる自分のところへ何度でも帰ってくればいいのだと思う。
そして、本当の自分という最強の味方をつけて、また立ち向かっていけばいいのだ。


就活の終わりは、ゴールではない。
人生の勝負所は、それから先にもきっと、たくさんある。

その勝負所で立派に咲き誇れるように、本当の自分が信じたものって何だっただろうと、わたし自身も問い続けていたいなと思う。

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