泉ハナ

はしっこにいる作家です。 祥伝社文庫「外資系オタク秘書ハセガワノブコの華麗なる日常」シ…

泉ハナ

はしっこにいる作家です。 祥伝社文庫「外資系オタク秘書ハセガワノブコの華麗なる日常」シリーズ、角川文庫「外資のオキテ」が出ています。

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バトルグランド 

●途中まで試し読みでお楽しみいただけます。続きは有料となりますので、よろしくお願いいたします。 「バトルグランド」は、Amazon Kindleでも販売しています。 ●光一  ベッド脇にあるサイドテーブルの上で、スマホが激しく振動した。  重い身体を起こし、スマホに手を伸ばす。 「お兄ちゃん?」  妹の五月だ。 「どうしている? 大丈夫? 玲子さんが家を出たって聞いたけど、本当なの?」  返事をしようとしたが、喉から出てきたのは掠れた音だけだった。玲子が出て行ってから一週間

¥600
    • 【小説】あなたの人生に幸多からん事を 四歳六か月

      「何? 結局、お母さんが行くの?」  玄関で靴を履いている美和子に、居間から出てきた娘の弥生が言った。  大学から東京に出た弥生は、そのまま就職して都内で一人暮らしをしている。  週末、高校の同級生の結婚式があるというので、久しぶりに帰郷していた。 「仕方ないじゃない。あんたに頼めないでしょ?」  美和子が靴紐を結びながらそう言うと、「うーん、お父さんの指定ルート、私、わからないからなぁ」と弥生が返す。  その弥生を、美和子の足元に寝そべるマロンが、興味なさそうに

      • ゲームのこと~バトルグランドにこめた想い

        ゲーム歴は長いです。 長い上に、公式記録にも名前が出ていたり、ゲーム会社から取材受けたり、呼ばれて発売前にプレイさせていただいたり、公式戦に出たりしています。 ポケモンはやった事がありません。マリオみたいなゲームは実は超苦手。 プレイするのはほとんど、バトル系、アクション系のゲームです。 初めてオンラインで知らない人とタッグを組んでゲームしたのは、「バイオハザード5」でした。 マーセナリーズというおまけ(追加)ゲームがあり、ツーマンセルでスコアをあげるゲームなんですが、緻密

        • 【小説】あなたの人生に幸多からんことを 第三話 二歳三か月

           ヨガのクラスが終わった後、時間を取ってほしいと真紀子からLineに連絡がきたのは、木曜日の夜だった。  ヨガスタジオで親しくなった真紀子は、夫の転勤で、一か月後に日本を離れてはタイで暮らすことになっている。  初めての外国暮らしとあって、悩みや不安も尽きないらしく、以前にも増して真紀子からの誘いは多くなったが、明るく前向きな彼女と話すことは、香にとっても楽しい時間だった。  レッスンが終わって連れ立ってスタジオを出ると、真紀子の表情が暗くなった  香はその様子に何か

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          自己肯定感を取り戻す

          ここしばらく、仕事関係と友人関係両方でいろいろあって、自己肯定感と尊厳ががっさり削られまして。 無茶苦茶失礼な事されて、無茶苦茶無礼な態度を取られて、無茶苦茶失礼な事を言われて、無茶苦茶いい加減に扱われると、それで受けるダメージってわりとシャレにならないくらいでかい。 失礼な事していい人間、足蹴にしてもよい、いい加減に扱ってもいいし、何を言ってもいいんですよで石つぶて投げられたと認識しております。 通常、そういうのへの耐性はわりと高くて、むしろ逆に「ナメとんのか」とグレネード

          自己肯定感を取り戻す

          【小説】あなたの人生に幸多からんことを 第二話 生後三日

          「ゆかり、お姉ちゃんになったの」  病院に着くなり、誰かれとなくそう言うゆかりに人々は笑顔を向ける。 「まぁ、すごいわねぇ。ゆかりちゃんはいくつ?」  杖をついた老女が訊ねると、ゆかりは5本の指を前に出して、「五歳」と大声で答えた。  隣にいる父親が「すみません」と笑いながら言うと、老女が「お子さん、お生まれになったの?」と尋ねる。  父親は「昨日の夜生まれまして。今日は、娘連れてきたんです」と答えた。 「まぁ、それはおめでとうございます」と老女が言った。 「あの

          【小説】あなたの人生に幸多からんことを 第二話 生後三日

          【小説】あなたの人生に幸多からんことを 第一話 生後二十七分

           目的の廃墟は、思っていた以上に山の奥深くにあった。  人が通らなくなった細い道には草が生い茂り、木が覆いかぶさっている所もあったが、存在はうっすらと残っていた。 ― さすが、モールスさんの情報は確実だな  教えられた道をたどりながら、春樹は高揚する気持ちを抑えられない。  廃墟ML(メーリングリスト)のメンバーのモールスはこの近所に住む人間で、休日はバイクで近隣の山をまわり廃墟探しをしていて、気軽にMLメンバーに情報を共有してくれる。廃墟MLのメンバー内では

          【小説】あなたの人生に幸多からんことを 第一話 生後二十七分

          外資系金融勤務経験からの感想 「ゴールドマンサックスに洗脳された私」

          宣伝にのせられた感じで購入、読みました。 ゴールドマンサックスといえば、金融業界の王者な会社と言ってもいいかも。 今は虎ノ門に移りましたが、六本木ヒルズにあった頃は、都内を見渡せる上層階複数のフロアにオフィスがあり、ゴールドマン専用の豪華な入口がありました。映画館にはいる階段のそばだったんですが、ご存じな方も多いかと。 実は私、だいぶ前ですが、ゴールドマンサックスに面接に行った経験があります。 アシスタントのポジションだったんですが、上司となる予定の女性が開口一番、「この会

          外資系金融勤務経験からの感想 「ゴールドマンサックスに洗脳された私」

          虎に翼 ~働く女性は今も変わらず

          NHK朝ドラ、人生初めて見ておりまして、しかもこれ以上ないってくらいハマってます。 昭和前期、女性初の弁護士を目指した猪爪(佐田)寅子が主人公のお話です。 女性の自立、女性の権利、女性史には以前から興味がありました。 フェミニズムでもないし、リベラル派でもありませんが、私達の今があるのは長い歴史の中で権利や自立、そして様々な問題に対して立ち向かい、戦い、そして尽力をつくしてくださった多くの女性たちによって在ると思っています。 中学一年生の時、教科書にあった一枚の写真に目を

          虎に翼 ~働く女性は今も変わらず

          外資系企業における学歴なお話

          上司、同僚、基本、どこの大学出たか知りません。 えらい人たちの学歴や経歴は、取引先から送ってほしいと言われる事があるので、会社として用意したものがあるのでそれで知っていますが、同じ部署の人達の学歴はほぼ知りません。 たまさか話に出て知る事もありますが、わざわざそれを話題にする事はまったくない環境です。 以前、取引先の日本大手企業で、入社二年目の社員のみなさんに向けて、お話させていただいた事がありました。 テーマは、外資系企業で働くという事。日本企業との違い、そこにいる人達の

          外資系企業における学歴なお話

          ロスの空の下で彼女は 

          (以前書いたものの改訂版) 今からだいぶ前のお話です。 彼は、エコノミー席の窓側に座っていました。 長い足を持て余しながら、狭い座席に小さく縮こまって、窓の外を見ていました。 ちらりと見えた横顔だけでも、かなりかっこいい人だとわかりました。着ているものも派手ではないけれどセンスよく、質の良いもの。 恵まれた人生を歩く人のオーラをふわりと纏っていました。 私は、ロスで面接を受けた帰りでした。 いつものように通路側に座りました。 窓際の席の彼との間の真ん中の席は空いたままで

          ロスの空の下で彼女は 

          いい会社の定義

          いい会社と人は言うけれど、具体的にそれはどういう会社のことをいうのか? となると、わりと曖昧たよなと思います。 社会保険がちゃんとしてるのは最低限の必須条件として、ホワイト企業/ブラック企業の定義って明確にあるわけではない。 年収での契約だと残業代でなくて当たり前だし、外資系だと、それこそ24時間対応で仕事してるなんてのもわりとあります。 落ちどころは給料の額だったりしますが、それたって納得の度合いは人によって違うし、必ずしも高いとは限らない。 組織がきちんとしてるのは当然と

          いい会社の定義

          仕事モードと特殊スキル

          腕を骨折してしまい、悲しみの日々を過ごしています。 だってゲームできないんだもん! 疲れやすくなっているので、9時にはベッドにはいっています。 先日友人と話していて、接客仕事経験があると、人と接する時に自動的に接客モードになるという話題になりました。 対人間の仕事だと、接客じゃなくてもそういうモードはあると思います。 かくいう私、ガチで接客業はしたことないけど一応経験しているし、何よりも秘書の仕事って己を封印する仕事なので、気がついたら 仕事モード というスイッチみたいな

          仕事モードと特殊スキル

          Diary 2024 02 29 面接に来て泣いていた大学生の彼女のこと 

          アメリカ企業日本法人で働いていた時のこと。 日本にオフィスができてまだ間もない頃で、社員はまだ十数人しかいませんでした。 営業のアシスタントが必要だったんだけど、本社から採用していいよって承認が降りなくて、社長が秘書の私に、バイトで来てくれる人誰かいないかなって言ってきたので、その時無職だった知り合いの女の子に声をかけてきてもらう事になりました。 彼女は新卒採用された会社で、若気の至りのおかしな自信発動しまくっていろいろやらかし、自身も疲弊して会社を早々に退職したという経緯が

          Diary 2024 02 29 面接に来て泣いていた大学生の彼女のこと 

          Diary 2024 02 16 飲み会で驚いた事

          先日、普段はほぼないタイプの飲み会に参加しました。 メンバーは、友達ではないけれど、それなりに関わり合いがあるという人たちで全員女性。 召集がかかったには理由があり、とりあえずその話を聞いて情報をシェアしましょうという主旨でした。 いやぁ、ほんとにびっくりした。びっくりしちゃった。 肝心の話は冒頭十分くらい。 なるほど、そういう事だったんですか。となった後、いきなりひとり、その話となんとなく繋がりはあるけれどまったくない関係ない話を始めました。 その話途中で、別の人が他の人

          Diary 2024 02 16 飲み会で驚いた事

          Diary 2024/2/3 港区女子レポート

          港区女子ってそもそもなんぞ?と思うわけですが、個人的には、活動拠点を港区に絞って、年収高い独身男性たちと交流を深め、結婚相手を探す女性という認識です。 高級ブランドや高級レストラン、タワマンの高層階が大好きだけど、自分で買ってたりするわけじゃない。 書いてて気づいた、場所も値段も高いもんが好きなんだな。 その昔、SNSを席巻したキラ女子なみなさん、商社マン、弁護士、医者、外資コンサルで年収一千万とか口を揃えて言っていたけど、それ、なんかバブルの頃から変わってないんじゃなかろ

          Diary 2024/2/3 港区女子レポート