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ゲームのこと~バトルグランドにこめた想い

ゲーム歴は長いです。
長い上に、公式記録にも名前が出ていたり、ゲーム会社から取材受けたり、呼ばれて発売前にプレイさせていただいたり、公式戦に出たりしています。
ポケモンはやった事がありません。マリオみたいなゲームは実は超苦手。
プレイするのはほとんど、バトル系、アクション系のゲームです。

初めてオンラインで知らない人とタッグを組んでゲームしたのは、「バイオハザード5」でした。
マーセナリーズというおまけ(追加)ゲームがあり、ツーマンセルでスコアをあげるゲームなんですが、緻密なプレイが要求されるゲームで、組んだ相手とどれだけ連携が取れるかがかなり重要。
そこそこの高得点は普通に出せましたが、100万スコアの壁が立ちはだかった時、いやもうほんと、どんだけ心血注いだ事か。
野良(単独ではいる人の事を指す)ではいると、自動的に見知らぬ相手と組む事になるんですが、相手が自分よりレベルが低いと抜けちゃう人、罵倒する人なんかざらにおりました。
みんな高得点出したくてガチでやってるから、まぁ、気持ちわからんでもない。フレンドであっても、「あなたとやってもハイスコアでないから」って剣もほろろな塩対応、やまほどある状況でしたから。

そんな中、スコア伸び悩み、フレンドから罵倒された後ひとりでやっていた時、野良同士で組んだ方とのプレイでいきなりスコア更新しました。
しかもものすごいハイスコア。
思わず「ありがとうございます!スコア更新できました!」とメッセージ送ったら、「もっと更新できると思いますよ、もう一回やりますか?」返事。
二度目のプレイでさらに更新しました。
お礼といっしょに、「フレンドに、お前は下手だからいっしょにやってもスコア更新できないって言われて凹んでいたので、本当にうれしかった」とまたメッセージ送ったら、こんな返事が返ってきました。
「全然下手じゃないですよ。すごくやりやすかったし、自分は楽しくプレイできました。ゲームなんだから、楽しくできなきゃ意味がないです。またいっしょにやりましょう!」
あとでID確認したら、世界ランキングトップ10にはいっている人でした。
いや、びっくりした。
250万人くらいプレイヤーいる中のトップ10ですからね。
この世にはヒーローがいるって思いました。

その後、FPSゲームを始めました。
「Call Of Duty」シリーズは有名なゲームで、当時は人気配信者も大勢いました。
「バトルグランド」に登場する配信者老兵Dのモデルにさせていただいた加齢た声さん(https://www.youtube.com/@hirotakar5102)もそのひとり。
(その後、別のゲームで加齢さんのチームと対戦して、その動画がYoutubeに残ってます。知った時は超うれしかった)
いやはや、このゲーム、すごいです。
みんなの切磋琢磨ぶりがハンパない。
しかも、天才レベルがごろごろいました。
そして、ヒーローもやまほどいました。本当にいました。
「バトルグランド」の中にそれを全部つっこみました。
新兵率いて手練れのフルパーティに勝った人も、たったひとりで戦っていたスナイパーとそこに残った私のもとにはいってきたパーティが、一斉に横並びになり、あっという間に敵をせん滅したのも実話です。

ルカのスナイパープレイのモデルにさせていただいたのはこの方。

いやぁ、これを見た時は震えたよね。かっこよすぎて。
彼は私のスナイパーの師匠です。
リーダーのリキヤの原型になった方もいます。彼は足ではなく、手が不自由でしたが、プレイにはまったく影響していませんでした。もともとはラグビーの選手だったと聞きました。
ニコスのモデルになった方もいます。その人と私、大喧嘩してるんですよ。でも、彼とは今でもフレンドです。
これまで遭遇したゲームの中には、独自のスタイルを貫いている人、素晴らしい煌めくようなプレイを見せてくれる人、尊敬に値する人格を感じる人たちがいました。
彼ら/彼女は有名な配信者でもなければ、人気プレイヤーでもありません。でも私の心に、恐らくいっしょにプレイした人達の心に、今も燦然とその存在を残していると思います。

「バトルグランド」は、そういう世界に在るそういう人達の事を書きたいと思って書いた小説でした。
実際プレイした事がない人、ゲームに興味を持っていない人にゲームの世界をどう伝えるか、視覚でしか認識する事のできない特殊な世界をどう表現するか、大きな壁でした。
最初に読んでもらった担当の編集さんは、作品云々ではなく、ゲームの小説は売れないから、という理由で書籍化の可能性はないとはっきり言ってくれました。
別の出版社では、新しい担当の方がついてハードカバーで出版という事にいったんなりましたが、ありえないような対応が続いて心が潰れてしまったので、私の方から原稿を取り下げました。
その後、この原稿に対するいろんな気持ちが錯綜して、かなりつらい気持ちになっていたところ、友人が、同人誌かkindleで出したらいいんじゃないかとアドバイスくれました。
小説って、読んでもらって初めて完成するものと思ってます。
そうならないものって、いつまでもいろいろこねくりまわしてしまうんですよね。
クソみそに言われた原稿で、すっかり自信を失っていたので、人目に触れていい作品かどうかわからず。
なので三人、友人に読んでもらいました。んで、忌憚ない意見をいただき。
それでkindleで出してみようと決意しました。
ひとりでもいい、読んでくださる方がいたらうれしい。そんな気持ちでした。

結果、読んでくださった方は予想よりもずっと多かったです。中には、アマゾンや書評サイトに感想を掲載してくださった方もいらっしゃいました。
本当にありがとう。心から感謝しています。

自分で作ったキャラクターだけど、ガゼル、すっごく好きです。
どんな人だろうって、時々考えます。
すごいプレイヤーも素晴らしいプレイヤーも、きっとリアルな世界では普通の人で、お父さんだったり、会社員だったり、学生だったり、子供を寝かしつけた後のお母さんだったり、コンビニで働いている人だったりするんだと思います。
中には、病気や怪我で外に出られなかったり、物語の中に書いた光一のような人もいると思います。
昔、Wiiが出た時、外国の子供たちがそれをもらって感極まって泣いているシーンを繋げた動画を見た事がありまして。
泣いている子供たちの中にひとりだけ、ゲームのコントローラーを必死に幼い妹(たぶん2歳半くらい)に持たせようとしている4歳くらいの男の子がいました。
その妹、片手が不自由で、少し知的障害があるようでした。
そこではっとしました。
たぶんこれまで、お兄ちゃんは妹といっしょに遊ぶってなかなかできなかったんじゃなかろうか。
でもWiiなら、いっしょに冒険ができる。いっしょに戦える。いっしょに遊べる。
それに気が付いて、うっかり泣きました。
また、e-Sportsのプロプレイヤーを描いたドキュメンタリーを見た時、車椅子の選手が複数人いる事を知りました。
私は以前から、病気や怪我でスポーツができなくなってしまった人も、ゲームなら問題なくプレイできると思っていて、それを小説の中でも描きましたが、プロプレイヤーにもいらっしゃる事を知り、ものすごく感激したことを覚えています。

今、いっしょにプレイしているフレンドは、いよいよ十年のつきあいになりました。
本名知らないし、顔も知りません。
でも彼らは私の大事な友達で、そして戦友です。十年、共に戦ってきた人達です。
アホみたいだけど、それってリアルな友達とはちょっと違う何かがあるように思います。
私はそれを「バトルグランド」であかねに言わせました。

「あなたに背中を預けます」

そんな事言えるなんて、ゲームの中だからこそ、と思っています。




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