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大学生の挑戦|思わずおしゃべりしたくなる方程式ワークショップをつくる

高校生のときに、わたしは「数学ができない人」なんだ、と自分に諦めた。
それは大学生になってからも、そして今でもコンプレックスだ。


「数学が苦手なわたし」だからこそできるワークショップ

数学が苦手な人が多い。

わたしもその一人だ。
高校時代には赤点をとったこともある。
なんなら数字を見るだけでちょっと具合が悪くなる。

そんな数学恐怖症であるわたしが、

なぜか数学のゼミに移って
中学1年生に向けて、
一次方程式のワークショップをすることになった。

数学の授業での課題

1)数学が苦手な人は数学の授業で考えることも話すこともやめてしまう
事前にとったアンケート調査によると
数学が苦手な生徒は、授業中に考えることや発言することを避けて、
学びの意欲や理解をさらに低下させていることがわかった。

2)「文字で表したものが何を意味しているのか」を理解しないまま方程式の文章題を解こうとする生徒が多い

例えば、教科書の例題に、このような問題があります。

「2000円で、ケーキ4個と150円のジュースを1本買うと、
 おつりが450円でした。
 ケーキ1個の値段はいくらですか。」
(啓林館・数学1より)

この問題を式にすると、「ケーキ1個の値段をx円」として、

2000ー4xー150=450

という式が作れます。

ここでポイントとなるのが「4x」です。
この「4x」が何を表しているのか?
この問題の場合、「4x」は「ケーキ4個の値段」を表しています。

ここをきちんと考えることが重要です。

「文字で表したものが、何を意味しているのか」

この部分をしっかりと考えずに、なんとなく流れで問題を解いている子が非常に多いです。
そのため、問題が複雑になってくると解けなくなっていきます。

猿田塾

どちらの課題も身に覚えがありまくりで、よくわかった。
そこで考えたのが
「思わずおしゃべりしたくなる方程式ワークショップ」だ。


方程式ワークショップの構成

ワークショップは、数理的思考を引き出す4つのステップで構成した。
ポイントは、3〜5人のグループワークにしたことだ。

1)文字を使って場面を表す
まずは、エクササイズ。
小学6年生の算数の問題を使って
グループ対抗のクイズ大会を行った。

2)方程式から問題文をつくる
問題づくりは数学の教科書でも取り入れられている。
でも、正直むずかしくないですか?
  
そこで考えたのが、
方程式を言語化する「解説文」

例えば、
方程式 : 4x + 200 = 280 を言語化すると
  
解説文 
「等号で結ばれた左辺と右辺は等しいため、左辺のxの4倍に200を足した値は右辺の280と等しい」
というように、数字や記号を話し言葉に置き換える。
  
このステップによって、
誰もが簡単に方程式を使っておしゃべりできるし、方程式の仕組みをことばによって理解することができる。
  
そして、グループ内で一緒におしゃべりしながら確認するので、誰のことも置いていかない。

3)つくった問題文を映像化する

問題文を絵にするというのはよく聞くし、わたしも問題文を解くときによく絵や図を描いてイメージをしていた。

問題文を絵で表す
・問題文を読んだ後、その内容を絵で描くように指導する
・絵を描くことで、問題文の内容を視覚的に理解することができる

小学校教員のための教育情報メディア「みんなの教育技術」by小学館

 
でも、今回は数学を使っておしゃべりすることに慣れることが目的!
 
グループでつくった問題文を映像作品にしてもらうことにした。

「他のグループが解きたくなる問題文(映像作品)をつくろう!」 
 
担任の先生になりきったり
クラスメイトのお面をつくってバスの乗客になったり
胸キュンが止まらないラブコメをつくったり
たくさんの色鉛筆を使って、花火を表現したり…。
 
数学が苦手な人も、映像作品をつくるために積極的に参加してくれた。

4)映像化した問題文から方程式を立てる
最後は、みんなお待ちかねの発表会 !
  
笑いが絶えない、他のグループの問題を解く時間。

問題づくりに使う方程式が、いくつかのグループで被るようにしたので
「全然違う問題文なのに、同じ方程式になった!」 
という驚きの声も上がった。
  

まとめ

数学のワークショップをつくることは、わたしにとって越境の体験だった。

わたしにとって、「越境」とは
異なる価値観に触れて、自分を揺さぶり、自分の当たり前を見つめ直すこと

参考:みんなのアンラーニング論


高校生のときに、わたしは「数学ができない人」なんだ、と自分に諦めた。
それは大学生になってからも、そして今でもコンプレックスだ。

振り返ってみると、数学の授業はいつも憂鬱だった。

でも、わたしは、ワークショップデザインに出会って、
頭がいいとか、計算が早いとか関係なく、
学ぶことは楽しいものなんだと気づいた。

受験勉強のための数学の授業。
これは今の日本の受験システムがある限り、仕方がないことかもしれない。

でもだからこそ、その一歩手前の
エクササイズとしてのワークショップがあってもいいじゃないだろうか。

自己肯定感の低い子どもたちの問題。
経済格差による学力格差。

この問題解決に少しでも貢献したくて、試行錯誤した。

ただの数学苦手な大学生がつくったワークショップは
まだまだ未完成だけれど

学ぶことが楽しい!
自分って意外にできるじゃん!

と思えるようになったらすごく嬉しい。




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