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【展覧会】正倉院宝物ー再現模造にみる天平の技

フェルメールを差し上げたら、正倉院になって戻ってきました。
なんて素敵な物々交換なんでしょう。

御大典記念 特別展
よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-

2022年1月26日(水)~3月27日(日)
六本木 
サントリー美術館にて

『出品作品はすべて再現された模造です。』
とチラシの下部に注意書きがあります。正倉院の本物のお宝を観る機会は無いでしょうから、有難いことです。

第1章 楽器・伎楽

まずこのチラシやポスターにもある、素晴らしい螺鈿の琵琶!
夜光貝をふんだんに使用しています。タイマイはワシントン条約でもう入ってこないので、国内にあった在庫から探したそうです。

琵琶の種類は違いますが、習って演奏している知人がいますので、この展示室の感想を聞いてみたいものです。

楽器を入れる袋も美しいです。龍村美術織物とあります。ですよね~。
そういえば以前、伯母から龍村「っぽい」帯が送られてきたのですが、やはり本物とは違いました。

第2章 仏具・箱と几・儀式具

この展示室だったと思いますが、10ぐらい入れ子になる金属製の器がありました。
当時、金属をこれほど薄く成形する技術があったことが驚きです。

第3章 染織

ここも凄かったです。織りを解析して、失われた部分を再現していました。
この章は川島織物が多かったです。龍村美術織物と並んで、私の中では歌舞伎座の緞帳でお馴染みです(緞帳の幅の織物ができる工場は、国内にもそうはないそうですよ)。

奈良時代の織物を再現するには細い絹糸が必要らしく、現代の外国産繭では大きく、糸が太くて不適当とのこと。皇居で上皇后様が育てていらした小石丸という蚕がちょうど良かったようです。小ぶりの繭で、鼓のように少しくびれていました。

そして、皇居内に自生していた日本茜を育てて使ったという茜色がとても素敵でした。本物の茜色は今までに見たことがあったでしょうか。

茜、苅安、藍で5~6色ぐらいに染めた絹糸も展示されていましたが、これがまた美しいのです。印刷のマゼンダ、イエロー、シアンでも色々な表現ができますが、自然の色の織りなす美しさは合成染料には敵わないと思います。

第4章 鏡・調度・装身具

4Fから降りてくる階段、ここから見える3Fが好きです。降りたところはお宝ザクザクでした。

漆に螺鈿の美しい円形の箱は、簡単に言うとベルト入れ。これもチラシ等に載っているものです。ベルトの方は瑠璃を使用していました。

持ち歩ける刀子という小さい刀は、製作が大変そうでした。刀だけでなく、鋸刃みたいなものもセットになっていました。

第5章 刀・武具

刃物よりも鞘などの装飾に目が行ってしまいますが、ガラス玉を嵌め込んだものがありました。

第6章 筆墨

ここまでは映像があっても立って観るようになっていて、多色コロタイプ印刷の方法まで足を止めて観ましたが、最後だけは椅子があって思わず座りました。正倉院の造りがアニメーションで再現されたものや、天皇陛下の許可がないと立ち入れない内部の映像も観ることができました。

災害が多い国ゆえに、技術を災害で失わないように継承する目的で始まったプロジェクトだそうです。伊勢神宮の式年遷宮のように、継承する意味で作る価値は確かにあるのでしょう。

漆+螺鈿=スキ

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